戦時下の性暴力の被害と加害の資料を集めて開館した「女たちの戦争と平和資料館」=1日、東京都新宿区西早稲田
【東京】戦時下の性暴力の被害と加害の実態を記録する「女たちの戦争と平和資料館」(西野瑠美子館長)が1日、東京都新宿区西早稲田に開館した。「慰安婦」問題など日本で初めて戦時下の性暴力に焦点を当てた資料館。「慰安婦」制度の責任者の刑事責任と国家責任を認定した2000年の女性国際戦犯法廷の審理全容、8カ国の被害者と加害兵士の証言、沖縄を含めた慰安所マップなどを展示している。ジャーナリスト・松井やよりさん(故人)の遺志を継いで開館にこぎ着けた。
証言では強制的に慰安所に送られた経緯、心の傷を抱えながら戦後を生きてきた女性たちの過酷な体験がつづられている。「慰安婦」募集に際して、陸軍省の方針を示した1938年3月の通達の写し、中国南部を占拠した日本軍から「慰安婦」を集めてほしいとの要求に、内務省が応じる内容が記された1938年11月の文書の写しも展示している。
西野館長は「教科書から慰安婦の記述がどんどん消え、加害の記憶が消えつつある今だからこそ、若い人たちに足を運んでほしい」と話している。
京都市から訪れた村上麻衣さん(26)は「戦争体験者から直接、話が聞ける最後の世代として責任を感じながら見た」、東京都の千々岩弦さん(28)は「慰安所のことを想像するのは難しいが、一人一人の証言が深い意味を持っている。この問題をじっくり考えたい」と話していた。
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