指南役・金丸氏の摘発が小沢氏のトラウマに
これが発展すれば、大連立、中連立という構図となる。場合によっては自民党の一部を巻き込むことにもなりかねない。
民主党内に小沢氏の幹事長辞任を求める声が高まらない理由は、選挙後のそうした複雑な攻防戦をしのぐには小沢氏の「剛腕」なくしては無理という判断があるためでもある。
検察審査会の議決では、小沢氏を「絶対権力者」と表現し、「市民感覚」「市民目線」といった言葉を使っている。
その情緒的な受け止め方がどうにも気になるところだ。
というのは、改めていうまでもないのだろうが、「陸山会」の土地購入疑惑は、「市民団体」による告発事件である。検察当局は告発を受理したら、起訴、起訴猶予、不起訴のいずれかの結論を出さなければならない。
ゼネコン各社が捜索を受けるなど、小沢氏をめぐる「公共工事発注疑惑」の様相が濃い印象を強めたのだが、法的にいえば、土地購入をめぐる疑惑の告発事件にすぎず、検察の不起訴決定はその枠からはみ出たものではない。
検察審査会の議決を受けて、検察当局は3カ月(6カ月までの延長できる)以内にもう一度、方針を決定しなければならない。おそらくは参院選後になるだろう。
となれば、小沢氏がこのまま幹事長続投を果たし、世間の批判が弱まることも予想されないわけではない。世論は移り気である。小沢氏にとって、もっと警戒すべきは、国税当局が乗り出す事態である。
小沢氏の指南役だった金丸信氏は、議員辞職後、国税当局に摘発された。
この前例から、政治権力が弱まったと見ると摘発されるという恐怖感が小沢氏のトラウマになっているという指摘がある。
小沢氏はその政治権力をどこまでも維持しなければならない立場に追い込まれているといっていい。小沢氏にとっての最終戦争という意味合いは実はそこにある。