大阪、兵庫、京都、滋賀のキリスト教会に消火器が投げ込まれる事件が止まらない。被害は2008年秋以降少なくとも72件。一時、襲撃は収まっていたが今春以降に再び増え始め、最近は教会に併設された保育園が狙われるケースもある。いずれもプロテスタント系の施設が狙われているが、捜査当局は犯行目的を絞り込めていない。複数の現場で不審なミニバイクが防犯カメラに写っており、割り出しを進めている。
■現場に不審なバイク
4月27日午前4時18分。大阪市旭区今市2丁目の路地に脇道からミニバイクが飛び出してきた様子を、マンションの防犯カメラがとらえていた。運転手はフルフェースのヘルメットにジャンパー姿。両足の間に消火器のようなものを挟んでいた。すれ違う新聞配達員のバイクが驚いてよろめいたが、ミニバイクはかまわず走り去った。
その直後、約80メートル離れた日本基督教団森小路教会の玄関に消火器1本が投げ込まれ、木製の扉が壊された。
捜査関係者によると、教会近くの今市商店街に設置された防犯カメラにも、同じミニバイクが教会の前で止まり、玄関付近からピンク色の煙が立ち上がる映像が記録されていた。付近は細い路地が入り組む住宅地で、同商店街振興組合の安田恵三理事長は「この辺りの地理を知っているか、下見をしていないと通れないコースでは」と話す。
2日後の同29日午後6時半には、大阪府吹田市の千里聖愛教会の施設内にある保育園のガラスが割れているのに通行人の男性が気づき、交番に通報した。保育園は通りから奥まった公園に面している。園によると、犯行時間は28日夕以降と推測され、園児や職員に被害はなかったが、床にはガラスや消火剤が散乱し、職員らが深夜まで掃除に追われた。