オッショイ!九州

政治・経済

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

水俣病:歴史的一歩 犠牲者慰霊式、首相も初参列 決着遅れおわび

 水俣病は1956年5月1日の公式確認から54年を迎えた。1日午後1時半から熊本県水俣市の水俣病慰霊碑前で犠牲者慰霊式が始まった。鳩山由紀夫首相が歴代首相として初めて参列し、被害拡大を防げなかった国の責任を認めて謝罪する。昨年7月に成立した水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済手続き受け付けも始まり、水俣病は新たな歴史を刻む一日となる。

 式典は慰霊碑への献水や黙とう、献花などに続き、患者・遺族代表で水俣病語り部の吉永理巳子さん(58)と前田恵美子さん(56)をはじめ、鳩山首相、蒲島郁夫熊本県知事、原因企業チッソ(東京)の後藤舜吉会長らがそれぞれ「祈りの言葉」を述べる。

 この後、小沢鋭仁環境相や田島一成副環境相らが出席して慰霊碑近くの環境省施設で救済手続きの申請窓口開設式があり、初日から申請者が訪れる見通しで、3万人以上とみられる未認定患者の救済措置が動き出す。

 水俣病問題は、患者勝訴となった関西訴訟最高裁判決(04年)が国より緩やかな認定基準を示したため、新たな基準での認定を求める被害者が急増した。政府は特措法に基づく救済で決着を図ると同時に、特措法を拒否している訴訟派患者団体「水俣病不知火(しらぬい)患者会」との和解を探り、3月に熊本地裁で患者会と和解に基本合意。4月に特措法に基づく救済方針を閣議決定した。

 水俣病は54年前のこの日、水俣のチッソ付属病院(当時)が水俣保健所に原因不明の神経症状を示す患者の発生を報告したのが公式確認とされる。

 国は96年以降、旧環境庁長官(01年からは環境相)が式典に毎年参列しており、国や熊本県の責任を認めた関西訴訟最高裁判決を受けて05年以降、環境相が「祈りの言葉」で被害者に謝罪している。【西貴晴】

 ◇熊本メーデーにも出席

 鳩山由紀夫首相は1日、水俣病犠牲者慰霊式に先立ち、熊本市であった第81回メーデー熊本県中央祭典(連合熊本など主催)に出席。「総理として初めて慰霊式に参加することになり感無量。政治的決着が遅れたことにおわびしなくてはならない」とあいさつした。【勝野俊一郎】

毎日新聞 2010年5月1日 西部夕刊

PR情報

政治・経済 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド