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ジョブズCEO、iPhoneでのFlash非対応について説明

Appleのスティーブ・ジョブズCEOが「クローズドなのはFlashの方だ」として、Flashを使ってのiPhoneアプリ開発禁止を含むFlashの締め出しの理由を説明した。


 米Appleのスティーブ・ジョブズCEOは4月29日(現地時間)、同社のiPhoneをはじめとするモバイル端末で米AdobeのFlashを採用しない理由についての説明文を公式サイトに掲載した。

 Appleは、iPhone、iPod、iPadでFlashに対応していないだけでなく、次期iPhone OS SDKの利用規約で、事実上FlashアプリをiPhone向けに変換することも禁止した。ジョブズ氏はこれらの決定の理由をユーザーや批評家に理解してもらうために要点を説明するとしている。「Adobeはわれわれの決定を、App Storeを保護するというビジネス上の目的によるとしているが、実際は技術的な問題に基づいた決定だ。AdobeはAppleがクローズドでFlashはオープンだと主張するが、実際はその逆だ」と語り、以下のような6つのポイントと結論を挙げた。

1. オープン性について

 Flashに将来搭載する機能や価格はすべてAdobeが決定する。Flashが広く普及していることは確かだが、100%プロプライエタリな製品だ。Appleの製品もプロプライエタリなものが多いが、iPhone OSではオープン標準のHTML5、CSS、JavaScriptに対応している。さらに、Appleはオープン標準のレンダリングエンジン「WebKit」を開発しており、同エンジンはAndroid、Palm、Nokiaに採用される業界標準となっている。

2. フルWebについて

 Web上のビデオの75%にFlashが採用されていることから、AdobeはFlash非対応のAppleのモバイル端末では完全なWeb体験を得られないと主張している。だが、ほとんどのビデオはH.264でも提供されており、Appleの端末で見ることができる。また、Flash対応ゲームをiPhoneなどで使えないのは事実だが、App Storeには5万本以上のゲームがあり、ほかのどんなプラットフォームよりも楽しめるゲームが多い。

3. 信頼性、セキュリティ、性能について

 Flashにはセキュリティの問題が多いだけでなく、Macでのクラッシュを引き起こす原因のナンバー1だ。モバイル端末にFlashを搭載することで、信頼性とセキュリティを損ないたくはない。また、Adobeはスマートフォン向けFlashの公開を何度も延期してきており、たとえ公開されても、その性能は疑わしい。

4. バッテリー駆動時間について

 多くのFlashサイトではソフトウェアでビデオをデコードするため、再生でバッテリーを大量に消費する。H.264でなら、iPhoneで最大10時間ビデオを再生できるが、ソフトウェアでデコードするビデオは5時間しか再生できない。

5. タッチ機能について

 Flashはマウスを使うPC時代の技術であり、モバイル端末のタッチ操作に対応していない。ほとんどのFlashサイトは、タッチ操作に対応するためにはコードを書き換える必要がある。たとえiPhoneなどがFlash対応になったとしても、Webサイトをタッチ対応に書き換える必要には変わりない。どうせ書き換えるならHTML5、CSS、JavaScript向けに設計しなおすべきだろう。

6. 最も重要な理由(Flashによる機能の制約から開発者を解放する)

 AdobeはiPhoneアプリ開発者にFlashを使ってほしがっているが、プラットフォーム(iPhone OS)と開発者の間にサードパーティー(Adobe)が介入すると、アプリの性能はサードパーティーがどの機能に対応するかによって制約を受けてしまう。Flashはクロスプラットフォームのツールなので、iPhoneの最新機能に対応することはAdobeの最優先目的にはならない。Appleは開発者に最も先進的で革新的なプラットフォームを提供し、最上のアプリを開発してほしいと考えている。そのために、(サードパーティー経由ではなく)直接われわれのプラットフォームを使ってアプリを開発してほしい。

結論

 FlashはPCとマウスで操作するPC時代の産物であり、低消費電力、タッチインタフェース、オープンなWeb標準というモバイル時代には不十分だ。メディア企業がAppleのモバイル端末向けコンテンツを精力的に提供していることからも、App Storeに20万本のアプリがあることからも、もはやFlashがWebコンテンツ閲覧やアプリ開発で必要とされていないことは明らかだ。Adobeは、Appleが過去と決別することを批判するのではなく、HTML5のような先進的な技術に取り組むべきだろう。

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