定型発達者もつらい…かな?

花風社・浅見淳子のブログ

治りやすいところから治す

2010-04-19 08:48:25 | 日記
さてさて肝心の岩永先生の講演内容。
何しろかの神田橋先生が「正しい道を行かれる方」と評価されている先生。
うちの著者でもあるので、おつきあいは深いですが、講演をじっくり聴くのは初めてでした。

なぜなら岩永先生の講演会のときには、これまで並んで登壇して、ニキさんや藤家さんとの対談の仕切りを務めていたことが多かったからです。
純粋にお客として、先生単独の講演を聴くのは、実はこれが初めてなのでした。

まず意外だったのは、岩永先生が意外とおちゃめなこと(笑)。
まあニキさんとかと一緒だと、ニキさんがお笑い担当になるのは必然です。
でも岩永先生も実は笑いの取れるOTさんなのでした。

講演は二部構成+質疑応答。実に内容が濃かったのですが、神田橋先生が高く評価される理由がよくわかりました。
同席した神田橋先生のお弟子さんも同じことをおっしゃっていました。
理由はたくさんありますが、ここに一つだけ書きます。
「治りやすいところから治す」という姿勢が神田橋先生と岩永先生には共通しています。

治すとは無理強いではありません。
岩永先生は特性への配慮を求めて、ときには学校とかなり強い姿勢で交渉されます。
とくに視覚過敏と聴覚過敏は治りにくい特性で、そのための配慮を求めて学校に出向かれることも多いようです。
研究一辺倒の方ではないのです。かなり臨床と研究を両立されている方です。

でも一方で、治りやすい特性もあります。
たとえば前庭覚のバグ。
これはかなりの確率で改善することができるそうです。
そして前庭覚の改善によって、姿勢がよくなるだけではなく、情動が安定することが経験的に多いそうです。
これは、私なんかにとっては当たり前のことに思えます。
藤家さんが以前、新しい場所を怖がってばかりいたのは、このへんが大きかったと思います。
でも前庭覚が安定すれば、世界への恐怖感、対人関係への恐怖感が和らぐのは当然のことに思えます。
検証もこれから進むでしょう。
療育の世界は、まだまだ検証が後手後手に回っています。
どの段階でその療法を取り入れるかは、本当にそのおうちおうちの方針です。
あ、前庭覚については、「続自閉っ子」「続々自閉っ子」のP5のイラストがとても理解しやすいですのでぜひご参照を。

治りやすいところを一つでも治せば、全体のQOLは上がります。
そうするとそこが突破口になって、発達が促されます。
そうなると今まで治りにくかったところも、改善されます。
こういう臨床家としての姿勢が、神田橋先生と共通していると思いました。

会場では書籍の販売も行っていただきました。
お買い上げのお客様でご希望の方には、ありがとうございますオリジナルスタンプも捺しました。
一部銘柄は売り切れで、ご不便をおかけしました。
群馬県自閉症協会の皆様、大変お世話になりました。
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