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米国の「全世界即時攻撃」計画と、「核戦争の危険性」
2010年4月30日
Photo:米空軍
米国防総省は、論争を呼んでいる「全地球即時攻撃」プロジェクトについて、[2014年の配備を目指し、]2011年にはおよそ2億4000万ドルの予算を付けたいと考えている。このプロジェクトの最終目標は、地球上のほとんどすべての場所を1、2時間以内に攻撃できる武器の開発だ。
だが、2億4000万ドルという金額は、ほんのわずかな頭金にすぎない。技術開発途上であるため、総額がわからないのだ。公的にはミサイル1基につき5億ドルかかる可能性があるとされているが、10億ドルするだろうという予測もある。
米国防総省はこの目的を達成するため、3種類の技術の開発を推し進めている。その1つ目は、核弾頭を搭載した大陸間弾頭ミサイル(ICBM)を通常弾頭に取り替えて再配備するというものだ。だがこれは、他国がこのミサイルを核ミサイルと誤認し、核ミサイルで反撃する事態を誘発する危険性を抱えている。
ブッシュ政権は、論争を呼んだこのICBM再配備構想を再三にわたって推し進めようとしたが、そのたびに議会は予算を付けることを拒んだ。その理由はきわめて明快だ。このミサイルは見た目も飛び方も核ミサイルとまるっきり同じなため、ロシアあるいは中国から核ミサイルが発射されてハルマゲドンとなってしまう可能性があるからだ。当時のプーチン大統領はその危険性を警告していた。
計画を支持する側は、ブッシュ政権での計画が潜水艦を使うものだったのに対し、現在の計画は地上基地からの打ち上げになることを指摘し、ロシアや中国にあらかじめ情報を与えておけば誤解は生じないし、両国はレーダーで違いを認識できるだろうと主張している。しかし、パキスタンやインド、イスラエルやイランといった国が独自のミサイルを開発していたらどうだろうか。多極的な世界では、「全地球即時攻撃」プロジェクトが危険を呼ぶ可能性は高いはずだ。
米国防総省による2つ目の取り組みは、音速の5〜6倍で飛ぶことのできる短距離巡航ミサイルの開発だ(『B-52』が5万フィート上空まで運び、発射する方式、動画参照)。超音速実験機『X-51 WaveRider』の飛行テストは2009年12月に予定されていたが、障害があり、2010年5月まで延期されている。
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