【東京】米軍普天間飛行場の移設をめぐり、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部沖を一部埋め立てくい打ち桟橋(QIP)方式で滑走路を造る案に政府内で否定的な見方が出ていることが2日、分かった。埋め立てを伴うため、仲井真弘多知事から公有水面埋め立て許可を得ることが現状では難しいと判断。最終的な政府の移設案とすることに連立を組む社民党や国民新党が異論を唱えていることなどから実現を困難視している。
1800メートル滑走路1本を含む代替施設をQIP方式で建設する考え方として、政府・与党内では(1)シュワブ沖合に建設する滑走路と陸地を結ぶ部分を埋め立てる(2)滑走路のうち約800メートルをシュワブ陸上部に置き、残り1000メートルを海上に突き出す―という2通りの手法が検討されている。
(2)は「ジャケット方式」と呼ばれ、訪米していた国民新の下地幹郎国対委員長が米政府関係者に説明した。滑走路の位置は、現行案のV字形滑走路のうち北側の1本を数百メートル西側にずらす。工期は、現行案が建設開始から5年かかるとされるのに対し、ジャケット方式は「建設開始から3年以内」としている。
(1)(2)とも徳之島(鹿児島県)に普天間ヘリ部隊の一部移転などとセット。海底にくいを多数打ち込み、その上で滑走路を置く方法は同じだが、(1)の場合は埋め立てが伴うため建設には知事の許可が必要だが、(2)は埋め立てがなく知事の許可は不要という。
政府内では、県内移設反対を掲げた4・25県民大会に仲井真知事が参加したことで、埋め立て許可をもらうことが難しくなったと判断。埋め立てを伴わない移設案を模索する方向性に傾いているとされる。
与党内からは実現可能性がある考え方として、ジャケット方式のほか、国民新が提案した「シュワブ陸上案」やキャンプ・ハンセン内に滑走路を建設する案、伊江島を活用する案などが出ている。