わははめし

うまいめしを食べれば誰しも幸せ!「わはは」と笑って気分は最高!
  そこでこの度「わははめし」仲間を増やすべく、うまいめしのことなら
No.1の料理家・瀬尾幸子先生に教えていただくことにしました。
教えを請いに訪ねるのは、食いしん坊おやじ代表の エンテツこと遠藤哲夫さんです。

最終回 いまこそ缶詰うまおかず

世のため人のためになりながら、あまり尊敬されることがない缶詰とおやじに、幸いあれとすすむめし。

旬の素材がうやまわれる一方で、地味で見下されることも少なくない缶詰は、会社や家庭や女子のためにつくしてきても、尊敬されることのないおやじの存在に、どこか似ていると思う。いったい、缶詰やおやじは、それほどダメな存在なのか、その扱いを知らないものたちが多すぎるだけなのではないのか。そんな真理に迫るかのような、瀬尾先生の今回の缶詰料理。いやあ、瀬尾先生、あなたは缶詰とおやじの救世主、女神様です。

そもそも、山形の「ひっぱりうどん」といえば、さば缶やさけ缶をつかう、立派な郷土料理だ。このあいだは、おしゃれな若者のまちといわれる東京・下北沢のカフェのようなところで、うまいさば缶の料理で酒を呑んだ。小泉武夫さん、椎名誠さん、森瑤子さんといった作家の作品にも、缶詰の料理でうまそうにめしをくう話がある。

もっと、堂々とおやじの存在を主張するように、缶詰をおかずとして生かす料理を主張したい。そう瀬尾先生にいったら、どさくさにまぎれてなにをいっているんですか、おやじの主張は缶詰を上手に料理できるようになってからにしなさい、だと。はいはい、わかりました、とにかく缶詰は、おやじの力強い味方、不況にも強い。いまこそ缶詰でおやじの底力を発揮しようではないか。ん?


いままでご愛読ありがとうございました。この連載も今回をもって終了となります。 次回はこの「わははめし」をもとに刊行する書籍のご案内です。ご期待ください(編集部より)。

瀬尾幸子

料理研究家。東京都北区出身。書道、和裁、酒場巡り、旅、落語、散歩、銭湯など趣味多し。『ちゃぶ台ごはん』(小学館)をはじめ、『おつまみ横丁』(池田書店)、『せおつまみ』(集英社)など、著書も多し。 “めしが進むおかず”と“酒が進むつまみ”が得意。腹の底から湧いてくる「食の欲求」を100%満たしてくれるのが瀬尾さんの料理だ。料理初心者も確実においしく作れる“明解レシピ”に、支持率は今なお上昇中。

遠藤哲夫

フリーライター。新潟県南魚沼市出身。通称エンテツさん。「大衆食堂の詩人」「酒飲み妖怪」の異名を取る。著書は『大衆食堂の研究』(三一書房)、『汁かけめし快食學』(筑摩書房)など。「Meets Regional」(京阪神エルマガジン社)、「雲のうえ」(北九州市)、「四月と十月」(美術系同人誌)など、数々の雑誌や新聞に寄稿。「気どるな、力強くめしをくえ!」を掲げ、大衆食堂や大衆食など、地域と生活の中の食を探索。