ヤクルト−横浜 日本復帰初戦を6安打1失点で飾った大家(手前)は、スタンドから声をかける母・千恵子さんを見つけると恥ずかしそうにうつむいた=神宮球場で
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◆横浜4−1ヤクルト
12年ぶりに日本球界に戻ってきた右腕が復帰戦を飾った。横浜・大家がヤクルト戦に先発し6イニング1/3を1失点。復帰後初登板で初勝利を揚げた。
「緊張はありました。先制してもらって楽に投げさせてもらえた」。メジャー仕込みのムービングボールが利いた。練習中から1球1球丁寧に、ボールを少しずつ変化させていた。そして試合でヤクルトを幻惑させた。
スタンドでは京都から駆けつけた母・千恵子さん(60)も見守った。「いい試合見させてもらいました。ファンの人から“お帰り”と言われて涙が出そうになった」と感激。「日本を離れて長いでしょう。横浜にも、もう知っている選手は少ない。なじんでくれるといいですけどねえ」と心配そうにも話していたが、その母の前で試合終了直後、尾花監督は大家の手を持ち上げ、喜びをナインと分かち合った。
98年6月13日の中日戦以来の日本マウンド。勝ち星は、94年4月29日のヤクルト戦(横浜)以来、16年、5847日ぶり。渡米前に5年間在籍した横浜では、これが唯一の勝利だったが、メジャーで野茂に次ぐ51勝を積み重ねた男は、たくましくなって帰ってきた。
2軍にいた先月20日には、横須賀の施設を見学にきた加藤コミッショナーと対面。実はお互いが米国にいたころ、大家はコミッショナーの家に行ったこともあるといい、再会した横須賀でも直々に激励された。
メジャーから日本球界復帰初登板でいきなり勝利を挙げたのは、03年の伊良部(阪神)、06年の高津(ヤクルト)以来だ。大家は「このまま頑張りたい」。古巣でリセットしたメジャー右腕が横浜の浮上への貢献を誓った。 (後藤慎一)
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