2010.4.24 05:00
沖合掘削請負会社の米トランスオーシャンが米メキシコ湾に所有するリグ(石油掘削装置)「ディープウォーター・ホライズン」で20日、大規模な爆発事故が発生したことを受け、油田事故への懸念が強まっている。
ウンダーリヒ・セキュリティーズのアナリスト、ニール・ディングマン氏は、掘削機による探鉱はこれまでにない深度の岩層に達しており、水圧の急激な上昇や噴出によって鋼鉄製の機器が破壊され、火柱が噴き出す恐れが強まっていると指摘。現在、沖合油田は10年前の10倍の深さまで掘り進められている。
20日に発生した爆発火災事故では作業員11人が依然行方不明となっており、米沿岸警備隊が捜索活動を継続中だ。同社は事故は噴出によるものとの見方を表明。英BPが採掘権を保有する同油田は深さ約5486メートル、沖合約64キロメートルで稼働していた。
ディングマン氏は「沖合掘削は常に高いリスクを伴うが、油井がこれほどの深度に達するとリスクはさらに高まる」と述べ、「1万フィート(約3キロメートル)を超えると突然、水圧と水温への対処がずっと困難になる」との見方を示した。
今回の事故で深海油田の掘削に対する監視・規制強化の声が強まりそうだ。また爆発で行方不明となった従業員の家族は22日、ニューオーリンズの連邦裁判所にBPおよびトランスオーシャンの過失を提訴しており、事故に伴う資源探査企業の法的リスクが高まる可能性もある。