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ダライ・ラマ:病める日本にメッセージ 毎日新聞と会見

毎日新聞と単独会見するダライ・ラマ14世=インド北部ダラムサラで2010年4月28日、栗田慎一撮影
毎日新聞と単独会見するダライ・ラマ14世=インド北部ダラムサラで2010年4月28日、栗田慎一撮影

 【ダラムサラ(インド北部)栗田慎一】ノーベル平和賞受賞者で、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(74)は6月の訪日を前に、亡命政府のあるダラムサラで毎日新聞と会見した。自殺者が12年連続で年間3万人を超える日本。ダライ・ラマは「周囲に頼っても何ら問題ではない」「拝金主義から脱し、隣人が苦しんでいる時こそ救いの手を」と語り、病める日本社会にメッセージを発した。

 長引く不況に伴うリストラや借金苦、学校や職場でのいじめ……。自ら命を絶つ人のほか、心を病む人も多い。そして、悲しみは周囲に広がる。「日本は経済成長で(人々の心は)限界に直面し、今では経済の分野でも世界規模の危機の中で苦しんでいる」と案じる一方、「現代社会は人間への慈しみや愛が欠けている」と説いた。

 自殺を減らす方策はあるのか。ダライ・ラマは「祈りだけで問題は解決しない」と断言し「次世代のために内なる価値観を重視する教育システムが必要」と語る。さらに生き方を見失った人々には「恥と自殺を考えるなら、恥を選んだ方がいい。物ごいになっても、それは恥ではない。失敗しても自ら命を絶つ理由などない」とのメッセージを送った。

 ダライ・ラマが中国から亡命して今年で52年目。自身が自殺を考えたことがあるかとの質問に対し「最高機密」とユーモアをまじえつつ「自殺を考えても誰にも言わない」と最高指導者としての苦悩もにじませた。

 一方、ダライ・ラマが求める「高度な自治」を巡り対立する中国については、最も困難を感じているのが「閉鎖性」と指摘。「中国は外の世界への疑念から閉じこもる思考を持つ」「アジアの大国である日本やインドが中国との関係を発展させ、信頼し合うことが重要」と述べ、アジアの安定に不可欠な日中印の信頼醸成がチベット問題の解決にもつながるとの認識を示した。

毎日新聞 2010年5月3日 2時30分(最終更新 5月3日 9時33分)

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