３度の悪夢　すべてマツダ

　広島には魔物が住んでいるのか？　２日の広島戦（マツダ）、中日は浅尾拓也投手（２５）が東出に打たれ、３−４でサヨナラ負けした。今季３度目のサヨナラ負けだが、舞台はすべてマツダ。マツダでの成績は１勝５敗と悲惨な数字ばかりが並ぶ。これで貯金なしとなった中日、３日からは１０勝４敗１分けと相性のよい本拠地ナゴヤドームで出直しだ。

　ただの巡り合わせか、何かの因縁か。マツダで今季早くも３度目となるサヨナラ負け。リプレーのような“悪夢”が繰り返された。

　不運の始まりは９回裏、先頭・石井の打球だった。高く弾んで浅尾の頭上へ。中前への打球コース。浅尾が抜群のバネで跳ねた。グラブをかすめた。遊撃・荒木が素早い反応で拾う。一塁へ転送。好プレー…、のハズだった。「ちょっと焦った」と振り返った荒木の送球はわずかに右翼方向へそれた。セーフ。記録はエラー。紙一重で状況が一転した。

　不運は連鎖した。１死二塁から赤松、東出に２連打されてサヨナラ負け。２本ともどん詰まり。わずかに遊撃の頭を越したような打球が立て続けにヒットになった。

　浅尾は自分を責めた。「せっかく追いついたのに、申し訳ないです。（投球自体は）悪くはなかったですけど、点を取られてはいけないポジションだということは分かっています。何とか抑えないといけない場面だったので…」。反省の弁が切ない。ツキのない２敗目。２度ともマツダでのサヨナラ負けと、鬼門になっている。

　チーム自体がマツダではここまで１勝５敗。昨季は８勝４敗と圧勝した球場が、今年は鬼門になりつつある。

　名古屋で蓄えてきた貯金が広島で消え、５割逆戻りとなった。終盤に追いつきながら惜敗。それでも試合後の落合監督には笑みがあった。

　「ここまでもったいないゲームが多いね。それを１個ずつ解消していけばいいんじゃないか。この球場に限らず」

　競り合う中で出てきた痛恨の１球、ワンプレー。それぞれが教訓に満ちていた。各自に見えた課題は、各自で一つずつつぶすだけ。シンプルに前進するしかない。

　交流戦までのセ・リーグは残り６試合。すべてナゴヤドームだ。今季１０勝４敗１引き分けの本拠地で貯金を取り返す。　（生駒泰大）