広島−中日 先発し、6イニング3失点の山内=マツダスタジアムで(谷沢昇司撮影)
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せっかくの好投が1球でフイになった。同点で迎えた6回、山内が4番栗原へ3球目を投じた瞬間、谷繁が外角に構えたミットが大きく動いた。「外を狙ったチェンジアップが真ん中へ入ってしまった。あのカウント(1−1)ならまだボールを投げられたのに…」
この日96球目の失投を栗原は逃さず強振。山内は両ひざに手を当てたまま左翼席を見つめた。「あのホームランは悔いが残ります」。痛恨の被弾に続き、倉にも適時打を浴びた。5回まで3安打1失点で粘っていた山内が、力尽きるように失点を重ねた。
これがローテーション定着への「壁」なのか。先発陣の新しい力として及第点の投球を続けている山内に、一つの課題が浮き彫りになってきた。今季初先発の4月18日の広島戦(マツダ)では6回に突如四球を連発して交代を命じられた。プロ初勝利を挙げた25日の阪神戦(甲子園)では7回に腕がつって降板した。そして今回、またもや「6回」が鬼門になった。
「理由? わかりません」と山内は首をかしげた。球数がかさめば疲れも出てくる。仕方がない現象なのだが、勝てる投手とは勝負どころでひと踏ん張りが利く。浅尾、高橋、岩瀬へ勝利のバトンを直接つなげるためにも、山内はこの「壁」を乗り越える必要がある。
「調子は悪くなかったと思います」と言う。小笠原、バルデスと2日連続で先発が早い回でKOされていたが、悪い流れは断ち切った。おそらく先発するチャンスはまだまだある。山内が白星を量産できる投手になれるかどうか。これからが大切になる。 (木村尚公)
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