ゴン、２４分間でも圧倒的存在感…札幌

必死の形相でボールを追う中山（左から２人目）

　◆Ｊ２第１０節　熊本０─０札幌（２日・水前寺）　コンサドーレ札幌のＦＷ中山雅史（４２）が不振にあえぐチームに光を差し込んだ。敵地での熊本戦は５試合ぶりの完封も０―０ドロー。後半２４分から４試合ぶりにピッチに立ったゴンがロスタイムの３分を含め、移籍後最長となる２４分間プレー。同３６分にはＭＦ砂川の左クロスを頭で合わせる見せ場も披露。攻守に札幌を引っ張った。魂のこもった背番号９の奮闘に石崎信弘監督（５２）は、５日の東京Ｖ戦（札幌ド）での初先発を示唆した。

　ゴンが鬼の形相を浮かべ、ボールを追った。０―０の後半２４分、ベンチ前で石崎監督から指示を受けると、第５節の岐阜戦以来、４戦ぶりとなるピッチに飛び出した。「サポーターもチームも勝ちに飢えていた」。気温２５度超。前線で絶え間なく動き続ける４２歳が、暑さで止まりかけていたチームメートの足に再びエネルギーを注入した。

　ハードワークの一方で、ワンチャンスを狙った。後半３６分、ＭＦ砂川の左クロスがファーサイドの背番号９に届く。相手守備陣から頭ひとつ抜け出す強烈ヘッド。だが、揺れたのはネットの外側だった。歓声とため息が入り交じるスタジアム。「枠にたたきつけたつもりだったんだけど…」と大粒の汗をぬぐった。

　ロスタイムを含め、今季最長の２４分間のプレーで圧倒的な存在感を見せた。２トップを組んだＦＷ近藤は「中山さんの動きは面白い。中央にいてくれるとチャンスになる」。ＭＦ宮沢も「気持ちの部分で引っ張ってくれる」。わずかシュート１本に終わった低調な前半とは、別のチームになっていた。

　どん底からはい上がりつつある。１―４で完敗した前節の甲府戦後、宿舎で反省ミーティング。指揮官は「試合をするのはあなたたち。人待ち、指示待ちじゃダメ」と厳しい言葉を並べた。続く熊本戦へのミニ合宿で、ゴンは「選手がどんどん話し合えばいい。もっと熱くなってもいい」とゲキ。良化しつつある仲間の心境に手応えを感じ取っていた。

　５日のホーム・東京Ｖ戦のＦＷ選考は難航しそうだ。この日、４戦ぶり先発のキリノは期待はずれ。熊本遠征に帯同しなかった内村も腰痛の不安がある。石崎監督は「中山の初先発？　今のＦＷ陣の調子を考えると、それもアリかな」と、スタートからの起用も構想に入れた。４２歳のゴールハンターが札幌攻撃陣の起爆剤になる。