金券店で販売される新幹線乗車券の店頭価格が安値で推移している。景気低迷による出張の減少などで需要がふるわない一方、換金を目的とした持ち込みが増えているいるためだ。

東京―仙台、年初より70円値下がり

　東京・新橋など金券店が集まる激戦区で、新幹線乗車券の安値が目立つ。東京―新大阪間が１枚１万2850―１万3000円、東京―名古屋間が9800―１万円、東京―仙台間が9680―9850円程度だ。ビジネス利用が多い東京―新大阪間、東京―名古屋間は09年始めごろから、安値で販売する店が広がっているほか、東京―仙台間は年初に比べても安値が70円程度下がった。

　08年秋のリーマン・ショック以降、企業の経費削減の影響で出張需要が減った。高速道路料金の割引も、新幹線の個人利用客の減少につながっている。一方で、個人客などの持ち込みは増加傾向という。クレジットカードで購入した回数券を換金目的で金券店に持ち込む人が増えている。「供給が増えた結果、常時、買い取り価格を安く抑えることが可能となり、販売価格も安く設定できるようになった」（都内の金券店）という。

割引サービス拡充が下押し圧力

　ＪＲ各社が割引サービスを拡充していることも値下げ圧力となっている。たとえば、東海旅客鉄道（ＪＲ東海）のチケットレスサービス（ＥＸ―ＩＣ）なら、東京―名古屋間が9830円、東京―新大阪間が１万3000円で利用できる。「ＪＲの割引価格との競争で、店頭価格も下がってしまった」（金券店）という。

（商品部　石原恭子）