高木マニア堂
何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
137:七人の刑事・ハミングに秘められた謎
<2008年3月=東スポ携帯サイトより>
「七人の刑事」(1961~69年=TBS系)のテーマ曲を口ずさんでいると、いつの間にやら「大岡越前」のテーマ曲に変わってしまっているという経験は、誰しもお持ちだろう。
桜田門・旧警視庁庁舎(1977年に取り壊された)の空撮映像とともに流れる「七人の刑事」(歌=ゼーグ・デチネ)のテーマ曲は、このドラマを知らない世代にまで浸透するハミング曲のスタンダードである。
この「七人の刑事」と「大岡越前」のテーマ曲が似ているのは、どちらも作曲が巨匠・山下毅雄先生(2005年に死去)によるモノだからだ。山下毅雄ことヤマタケ作品はジャズっぽさの中に、とても怖い“不思議な何か”が秘められている。
主なヤマタケ作品を挙げてみても「七人の刑事」「スーパージェッター」「悪魔くん」「ジャイアントロボ」「佐武と市捕物控」「プレイガール」「ルパン三世(旧)」「時間ですよ」「大岡越前」「ガンバの冒険」「クイズタイムショック」「パネルクイズ・アタック25」などなど数え切れないが、明るいはずの曲ですら、何だか怖く、夜と酒…つまりオトナの匂いを感じてしまうのが特徴だ。口笛の名人としても知られ、アルバムもリリースしているほど。ヤマタケ作品に挿入される口笛は、山下先生本人の演奏であること
も有名だ。
さて問題は、この「七人の刑事」のテーマ曲を歌っていたゼーグ・デチネなる人物のことだ。「特捜最前線」のエンディング曲「私だけの十字架」を歌っていたチリアーノと並ぶ「謎の外国人歌手」として、その存在を怪しまれてきた。
2000年に発売された書籍「ヤマタケ☆デラックス」(ブルース・インターアクションズ)に収録された山下先生のインタビューによると、デチネはプロ歌手ではなく、山下先生が飲みに行った赤坂のクラブで、たまたま出会ったユダヤ人だったとか。山下先生はデチネの歌声を気に入り、その場でスカウト。1週間ほどレッスンをして、もう「七人の刑事」の主題歌を吹き込んでしまったのだそうだ。この主題歌は話題となり、ビクターからシングル盤が発売。当時のテレビ主題歌としては100万枚と異例の大ヒットを飛ばした。
その後のオチが凄い。「でも、あいつは実は世界中の宝石を扱う詐欺師だったんだ(中略)国際警察に手配されてて、すぐにトンズラしちゃったんだよ。歌手印税ももらわないで。今でも利子がついてビクターの倉庫に眠っているはずですよ。多分、あいつはあのあと香港かどこかで消されたんじゃないか思うんだけど」(山下毅雄インタビューより)。
この証言が本当ならば、長年、警視庁庁舎の映像をバックに国際詐欺師の歌声がテレビから流れていたことになる。かなりマヌケな事態だ。
ところが今年2月に発売された、テレビ番組の草創期を綴ったブ厚い一冊「テレビ番組事始」(志賀信夫著=NHK出版)によると、デチネについて全く逆の証言が並ぶ。
「1929年に中国・北京に生まれ、戦後間もなく日本に来て、モデルガンの輸入などを行っていた貿易商である(中略)ハミングの録音が終わって、謝礼を払おうとしたとき、デチネは固辞し、彼は戦災孤児の施設に寄付した。お
そらく、彼の少年時代は不幸であり、孤児たちのために少しでも力を貸したかったのだろうと推察される」とある。
ユダヤ人の貿易商であるということは一致しているが、国際警察に手配された詐欺師であるのと、タイガーマスク(伊達直人)よろしく、稼いだお金を孤児施設に寄付してしまうのでは、丸っきり大違いだ。
作曲家の証言が正しいのか、それとも放送評論家が記したことこそが真実なのか? ゼーグ・デチネの謎は今もって解けないのである。
「七人の刑事」(1961~69年=TBS系)のテーマ曲を口ずさんでいると、いつの間にやら「大岡越前」のテーマ曲に変わってしまっているという経験は、誰しもお持ちだろう。
桜田門・旧警視庁庁舎(1977年に取り壊された)の空撮映像とともに流れる「七人の刑事」(歌=ゼーグ・デチネ)のテーマ曲は、このドラマを知らない世代にまで浸透するハミング曲のスタンダードである。
この「七人の刑事」と「大岡越前」のテーマ曲が似ているのは、どちらも作曲が巨匠・山下毅雄先生(2005年に死去)によるモノだからだ。山下毅雄ことヤマタケ作品はジャズっぽさの中に、とても怖い“不思議な何か”が秘められている。
主なヤマタケ作品を挙げてみても「七人の刑事」「スーパージェッター」「悪魔くん」「ジャイアントロボ」「佐武と市捕物控」「プレイガール」「ルパン三世(旧)」「時間ですよ」「大岡越前」「ガンバの冒険」「クイズタイムショック」「パネルクイズ・アタック25」などなど数え切れないが、明るいはずの曲ですら、何だか怖く、夜と酒…つまりオトナの匂いを感じてしまうのが特徴だ。口笛の名人としても知られ、アルバムもリリースしているほど。ヤマタケ作品に挿入される口笛は、山下先生本人の演奏であること
も有名だ。
さて問題は、この「七人の刑事」のテーマ曲を歌っていたゼーグ・デチネなる人物のことだ。「特捜最前線」のエンディング曲「私だけの十字架」を歌っていたチリアーノと並ぶ「謎の外国人歌手」として、その存在を怪しまれてきた。
2000年に発売された書籍「ヤマタケ☆デラックス」(ブルース・インターアクションズ)に収録された山下先生のインタビューによると、デチネはプロ歌手ではなく、山下先生が飲みに行った赤坂のクラブで、たまたま出会ったユダヤ人だったとか。山下先生はデチネの歌声を気に入り、その場でスカウト。1週間ほどレッスンをして、もう「七人の刑事」の主題歌を吹き込んでしまったのだそうだ。この主題歌は話題となり、ビクターからシングル盤が発売。当時のテレビ主題歌としては100万枚と異例の大ヒットを飛ばした。
その後のオチが凄い。「でも、あいつは実は世界中の宝石を扱う詐欺師だったんだ(中略)国際警察に手配されてて、すぐにトンズラしちゃったんだよ。歌手印税ももらわないで。今でも利子がついてビクターの倉庫に眠っているはずですよ。多分、あいつはあのあと香港かどこかで消されたんじゃないか思うんだけど」(山下毅雄インタビューより)。
この証言が本当ならば、長年、警視庁庁舎の映像をバックに国際詐欺師の歌声がテレビから流れていたことになる。かなりマヌケな事態だ。
ところが今年2月に発売された、テレビ番組の草創期を綴ったブ厚い一冊「テレビ番組事始」(志賀信夫著=NHK出版)によると、デチネについて全く逆の証言が並ぶ。
「1929年に中国・北京に生まれ、戦後間もなく日本に来て、モデルガンの輸入などを行っていた貿易商である(中略)ハミングの録音が終わって、謝礼を払おうとしたとき、デチネは固辞し、彼は戦災孤児の施設に寄付した。お
そらく、彼の少年時代は不幸であり、孤児たちのために少しでも力を貸したかったのだろうと推察される」とある。
ユダヤ人の貿易商であるということは一致しているが、国際警察に手配された詐欺師であるのと、タイガーマスク(伊達直人)よろしく、稼いだお金を孤児施設に寄付してしまうのでは、丸っきり大違いだ。
作曲家の証言が正しいのか、それとも放送評論家が記したことこそが真実なのか? ゼーグ・デチネの謎は今もって解けないのである。
プロフィル
高木圭介のプロフィル
昭和44(1969)年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。かつてジャイアント馬場さんも暮らした新丸子の街
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フォルダ
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