発表日:2009年2月26日
京セラは、GPS用途に対応した温度補償型水晶発振器(TCXO)としては世界最小クラス・最低背*となる
2.0×1.6×0.75(max)mmサイズを実現した「KT2016シリーズ」の量産を開始いたします。
KT2016シリーズ」は、GPS用途に対応可能な周波数温度特性±0.5ppmの高精度でありながら、
従来製品であるKT2520シリーズに対し、面積で36%、体積で40% 削減の小型化を実現しており、
実装面積の省スペース化に貢献する新製品です。
また、本製品に用いるICと水晶振動子とのマッチングのための独自のシミュレーション技術を確立し、
低消費電流・低位相雑音を実現しています。
さらに、本製品では機器全体での省電力化をはかるため、従来の1.8Vから1.68Vへの低電圧駆動対応ならびに、
スタンバイ機能の内蔵によって、待機時の消費電流 10uA typ.を実現しました。
「KT2016シリーズ」は、当社 鹿児島国分工場において2009年3月より、月産200万個の規模で量産を開始し、
その後も順次増産していく予定です。
*2009年2月現在。当社調べ
■開発の背景
近年、位置特定用途のため、携帯電話でのGPS搭載率が高まり、市場が拡大しています。
また、従来のカーナビゲーションシステムに加え、新たにPND(Personal Navigation Device)市場が形成され、
GPS用途に対応した発振周波数温度特性±0.5ppm以下の高精度TCXOの需要が高まりを見せています。
また、これらの用途では、多機能化に伴う高密度実装化やモジュール化により、小型・低背化や低消費電力化の
要求が高まっています。
このような市場の要求に対応するために、当社では、これまで培ってきた小型水晶加工技術・実装技術を用いて
小型・低背化を、独自のシミュレーション技術によるICと水晶のマッチングを行うことで低消費電流・低位相雑音を
実現しました。
|
|
GPS対応 温度補償型水晶発振器(TCXO) 「KT2016シリーズ」
|
|
サイズ |
2.0typ×1.6typ×0.75max mm |
周波数範囲 |
13MHz〜52MHz |
初期周波数偏差 |
±2.0ppm max/リフロー2回 1時間後 |
周波数温度特性 |
±0.5ppm/−30℃〜85℃ |
動作温度範囲 |
-30℃〜85℃ |
動作電源電圧範囲 |
1.68V〜3.3V |
消費電流 |
動作時 1.5mA max/@26MHz
スタンバイ時 10uA max |
スタンバイ機能 |
有り |
Pb Free、RoHS指令対応 |
■「KT2016シリーズ」の特長
【1】 世界最小クラスの小型形状
当社がこれまで培ってきた小型水晶加工技術、実装技術を用いて、小型最低背サイズ(2.0typ×1.6typ×0.75max mm)を実現した温度補償型水晶発振器です。
【2】 低消費電流、低位相雑音
GPS用途においては高安定性(発振周波数温度特性±0.5ppm)実現のため、一般的には回路規模の大きいICを用いますが、
このようなICは、消費電流の増大、位相雑音の劣化の原因ともなります。
この問題点に対し、当社では、低消費電流・低位相雑音のため簡素化したICを用い、
そのICと水晶振動子の温度特性をマッチングさせる独自のシミュレーション技術を確立しました。
<消費電流>
|
|
<位相雑音>
|
|
KT2016シリーズを赤色、大規模LSI搭載TCXOを青色で示します。
|
【3】 低消費電流
機器全体での省電力化、および部品点数の削減を目的に、従来の1.8Vから1.68Vへの低電圧駆動対応としました。
またスタンバイ機能も内蔵し、待機時の消費電流 10uA typ.を実現し、低消費電力に貢献しています。
【4】 独自のパッケージ 構造による優れた信頼性、温度追従性
当社のTCXOは、水晶振動子、ICをそれぞれ別の空間に搭載したH型構造を採用しています。
このH型構造は、1)水晶振動子とICを別の空間に搭載するため、不純物や異物の影響を最小限にすること、
2)水晶振動子工程の後にICを搭載するため、回路部の影響を受けずに水晶の特性検査を実施できること、
3)IC接合部に水晶振動子の組立時の熱処理影響がないことから、高い信頼性を実現しています。
また、外部の環境温度変化を水晶片、ICが同時に受ける構造であるため、周辺部品などによる急激な
温度変化に対して高い温度追従性を持ち、GPS通信における応答性を向上させています。
【5】環境性能
鉛フリー、RoHS指令に対応し、また、低消費電力を実現するなど、環境に配慮した製品です。
|