(上段から)くい打ち桟橋工法 ポンツーン工法 埋め立て工法
普天間飛行場移設問題で、政府が辺野古沿岸部へのくい打ち桟橋(QIP)方式案による滑走路を建設する案で決着しようという動きを強めている。政府が「環境に優しい」とする同案は、既に日米特別行動委員会(SACO)最終報告のころに、普天間飛行場代替施設協議会で検証され、安全面やコスト面で不採用となった案だ。環境面でも影響が大きいとの指摘もある。
「本当に無理なのか」。4月30日に官邸で民主党の喜納昌吉参院議員と面談した鳩山由紀夫首相は、喜納氏からQIPは無理だとの言葉を聞き、驚いた表情を見せたという。QIP案で県民は納得する―。そんな誤った情報が首相に挙げられていたことをうかがわせる。
2001年にくい打ち案を含む3工法8案が提示された際も、藻場の減少や工事中の騒音などの影響で、ジュゴンの生態に影響することが予想され、地元から反発も起きていた。
今回、くい打ち桟橋案が再浮上する過程で、「埋め立てより影響が少ない」との声が政府内外で上がった。これに対し自然保護団体は、藻場が桟橋方式の滑走路で覆われ光が遮断されると光合成の阻害が起こって藻場が消失し、藻場や砂地を利用する貝類や甲殻類がいなくなると指摘している。
◆02年、協議会で却下 埋め立てが現実的と判断
普天間飛行場移設問題で政府が最終調整している辺野古沿岸部へのくい打ち桟橋(QIP)工法は、2001年に普天間飛行場代替施設協議会で政府が提案し、採用されなかった経緯がある。同協議会で政府は県側にQIPや「埋め立て工法」など3工法8案を提案し、「埋め立て工法」に決まった。安全面や維持管理費などから、QIPより「埋め立て」の方がより現実的と判断されたようだ。
QIPは1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告のころ、浮上し、01、02年に代替施設協議会で検討された。
政府は当時、QIPについて約2600メートル級でくい支柱を8750本打つリーフ内案と、同級でくい支柱を3564本打つリーフ外案を提示。しかし、同規模の建設実績は世界的になく、技術的観点から安全面での確証が得られないとして却下された。
当時の計算で、建設費は埋め立てが1400億〜9700億円であるのに対し、QIPは4800億〜1兆円と高額。維持費も埋め立てに対しQIPは2〜4倍かかるとされた。
一方、県内でも建設業界関係者が水面下で活発に動き、より地元に恩恵があるのは「埋め立て」との見方もあった。
ほかにも海上浮体(ポンツーン)が検討されたが、ポンツーンは水深が深いリーフ外の外洋への設置となり、防波堤を築く特殊な作業台船もわずかで、建設は困難と指摘されていた。
02年7月の代替施設協議会で基本計画が策定され、沖合2・2キロメートルを埋め立てる案に決まった。
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