上海から海賊版DVDが姿を消したワケ

 違法コピーによる「海賊版天国」といわれる中国・上海市内で、人気DVD・CDが姿を消すという怪現象が起きている。これは、全世界から7000万人の来場が予想される「上海万博」に備え、「臭い物にはフタをせよ」とばかりに中国政府が海賊版の取り締まりを強化しているからだ。

 米紙ニューヨーク・タイムズが最近報じたところによると、中国政府の取り締まり担当官は、上海で販売されている映画・音楽などの海賊版DVD・CDを、上海万博期間中の5月1日から6カ月間、押収する方針だという。上海市の公務員らは、「最近取り締まりが効果を挙げている。今年3月以降、3000店以上が、違法なコピー商品を販売していたため閉鎖に追い込まれた」と語る。

 同紙は、上海市内のDVD販売店がこうした状況下で、売り場の配置を変更するという手口を使って営業していると指摘。つまり、売り場に間仕切りを設置し、正規品を販売する一方で、裏では『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』といった人気ハリウッド映画の海賊版を販売しているというわけだ。

 店の外には「違法と断固戦おう」というポスターが掲げられている。だが実際には、店員らは秘密通路を利用し、音楽・映画・テレビ番組などの海賊版を何千種類も保管している闇の部屋に客を案内する。

 上海のDVD販売店「ムービーワールド」の店員は、「取り締まりに対応するため、最近ではあらゆる店がこうしたやり方で営業している」と話した。上海市内のDVD販売店には、世界各国から多数の顧客が訪れる。米国映画協会のアジア太平洋本部長を務めるマイク・エリス氏は、「中国では、違法なコピー商品の問題解決のための十分な措置が取られていない」と批判する。

 同紙は、万博閉幕から数カ月もすれば、上海市内のDVD販売店は再び海賊版を堂々と表に並べて販売を再開するだろうと予想した。上海市の幹部関係者は、「海賊版の氾濫は今に始まったことではないため、完全に防止することはできない」と語った。

ソル・ソンイン朝鮮経済i記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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