29日午前10時、京畿道平沢市の海軍第2艦隊司令部安保公園の空は、「勇士46人」との最後の別れを惜しむかのように、前日まで激しく降り続いていた雨と激しい風がピタリと止まり、真っ青に晴れ渡った。しかし、46人を見送る遺族の表情は、胸の弔花と同じぐらい暗かった。

　午前10時、全国に哀悼のサイレンが鳴り響いた直後、「故人への黙とう」がささげられると、1300人の遺族をはじめ軍関係者ら2800人が出席した合同告別式の会場は、静寂に包まれた。遺族席では、誰もがそれまで耐えていた涙があふれ出した。うなだれた肩も震えた。

　哨戒艦「天安」の沈没事故が発生して以来、枯れ果てたと思った涙は、この日もまたあふれ出した。葬儀委員長の金盛賛（キム・ソンチャン）海軍参謀総長が「愛する家族の悲しみの声も、帰ってこいと叫ぶ戦友たちの叫びも聞こえないのだろうか」と弔辞を述べると、遺族たちの嗚咽の声はさらに大きくなり、涙も一層あふれ出した。58人の生存者の一人、キム・ヒョンレ中士（軍曹に相当）は哀悼の辞で、「申し訳ない。心から申し訳ない。君たちを艦内に残してきて申し訳ない」と震えた声で語ると、遺族たちの悲痛な鳴き声はさらに大きくなった。母に抱かれて出席した故キム・ギョンス上士（曹長に相当）の5歳の息子は、細く小さな手に持ったハンカチで母の涙をふいた。

　告別式に出席した李明博（イ・ミョンバク）大統領は、犠牲となった46人全員に花朗武功勲章を追叙し、遺影の前で頭を下げた。大統領府によると、李大統領は直接弔辞を述べたかったが、葬儀が海軍葬として執り行われたため、海軍参謀総長が弔辞を読み上げたという。李大統領は金海軍参謀総長が弔辞を読み上げる間、時々目と口を固く閉じ、同席した夫人の金潤玉（キム・ユンオク）氏も隣で涙を流した。ハンナラ党の朴槿惠（パク・クンヘ）元代表も、この時ばかりはハンカチを取り出して涙をふいた。李大統領は、遺族が献花と焼香を行う瞬間にもハンカチを取り出した。ある遺族は李大統領に近づいて手紙を手渡し、別の遺族は李大統領の手をにぎりながら、「どうすればいいでしょうか」「助けて下さい」などと泣きながら訴えた。大統領府の金恩慧（キム・ウンヘ）報道官は、「李大統領は今後も“断固たる措置”を行動に移すだろう」と述べた。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没