【社説】韓国の安保を立て直す時が来た

 哨戒艦「天安」の沈没事故で犠牲になった将兵46人の告別式が29日、京畿道平沢市の海軍第2艦隊司令部で執り行われた。金盛賛(キム・ソンチャン)海軍参謀総長は弔辞で、「われわれは3月26日にペンニョン島で起きた惨事を決して許すことなく、また許してはならず、忘れてもならない。(われわれに)苦痛を与えた勢力を最後まで追及し、必ずやこれ以上に大きな代価を払わせる」と強調した。

 「天安」の犠牲者を見送った今、韓国は改めて沈没原因を明らかにし、断固としてその責任を問い、安全保障を見直す新たな決意を固めなければならない。それが46人の犠牲を無駄にしない道であり、さもなければ現在の国家的非常事態を打開することはできない。今こそ大統領が国の中心となって、強い政治的リーダーシップを発揮すべき時だ。

 大統領と与野党は早期に会合を開き、今後起こり得る状況を共に整理し、国家的レベルで推進すべき事柄の優先順位について意見を集約しなければならない。そうした共通認識を共有しなければ、たとえ「天安」を沈没させた勢力が明らかになっても、遅滞なく断固たる対策を講じることはできない。真実が世間に明らかになったところで、韓国が右往左往して、躊躇する態度を見せれば、世界から嘲笑を受けるだけでなく、新たな挑発を呼びみかねない。

 大統領は安全保障の全般を思い切って見直す必要がある。「天安」の沈没前後の状況と、事故後の対応で生じた過ちを再確認し、急がれる対応と中長期的に推進すべき課題の優先順位を適切に見極める必要がある。「天安」沈没後の軍内部の沈滞ムードを払しょくし、軍に対する国民の信頼が揺らぐ事態を防ぐためには、過ちが明確となった軍首脳の責任を速やかに問い、新たな人材に安保システムの改革を求めるべきだ。この差し迫った時期に、大統領による人事が新たな論争を生み、国会での聴聞会による検証をためらうようであれば、そんな人事はやらないほうがましだ。

 大統領は党派を超え、国家安全保障に対する国民の不安を鎮めることのできる最適任者を選び、野党もその人事には国家的状況を考慮し、超党派的に協力する姿勢を示すべきだ。そのためには、大統領がまず与野党指導部に人事構想を説明し、理解を求めることが望ましい。

 真相究明問題においても、超党派的な協力が求められる。与野党は28日、軍民真相調査団とは別に、国会による「天安真相調査特別委員会」を設置することを決めた。国会が真相調査に乗り出すこと自体は間違っていないが、国が非常対策を立て、実行すべき時に政治的な攻防を繰り広げることは、安全保障上の国益を損ねることにもなりかねない。大統領は真相調査の進行状況を見守った後、与野党指導部に基礎的な調査が一定の段階まで進んだ時点で、意見提示の機会を与える方針を伝え、調査結果を共有できる下地を整えておく必要がある。

 今こそ韓国の外交が力を発揮すべき時だ。「天安」の沈没原因に対する科学的、客観的な調査結果に基づき、断固とした措置を取るためには、韓半島(朝鮮半島)周辺の関連国に対する根回しを行うことも重要だ。米国、日本、中国、ロシアなどの主要国との国防相、外相会談を通じて、今回の事態の真実を説明し、共感を得なければならない。その第一歩を踏み出すに当たって、きょう行われる韓中首脳会談が出発点となる。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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