歴代郡守5人に3人が逮捕された和順郡(下)

「夫婦郡守」対「兄弟郡守」、対立の原因とは

 和順郡でこのように不祥事が相次ぐのはなぜだろうか。

 「選挙のたびに地域全体が恐怖に包まれる。『脅迫政治』といっても過言ではないほどだ。派閥に分かれて激しい政争を繰り広げる『徒党政治』がまかり通っているからだ」。和順郡のある民主党の幹部は、「応援を求められて拒否すれば『敵』と見なす論理が支配し、選挙のたびに住民たちが悩まされている」と語った。

 和順郡の郡守選挙がこのように政争へ発展するのは、これまでの選挙で形成された奇妙なコネクションや、積年の対立があるためだ、と住民たちは話す。04年、林鎬景元郡守が逮捕された後、妻の李泳楠(イ・ヨンナム)元郡守が当選し、初の「夫婦郡守」として話題になったが、2年後の06年5月31日の統一地方選で、チョン・ヒョンジュン前郡守が再選を目指した李郡守を破って当選を果たした。だが、それから2カ月もたたずにヒョンジュン前郡守は逮捕され辞職、その後行われた出直し選挙で弟の全完俊郡守が当選し、今度は「兄弟郡守」として注目された。この「夫婦郡守」と「兄弟郡守」の両サイドは、06年の選挙で対決した後、「宿命のライバル」となり、今年6月に行われる統一地方選挙でも対決姿勢を見せていた。

 初の対決となった06年の選挙では、現職だった「夫婦郡守」の妻(李泳楠元郡守)が「兄弟郡守」の兄(チョン・ヒョンジュン前郡守)に敗れた。そして、今年の選挙では、「夫婦郡守」の夫(林鎬景元郡守)が被選挙権を回復し、無所属で出馬して、現職の「兄弟郡守」の弟(全完俊郡守)に挑む意向を示していた。林元郡守は昨年、全完俊郡守を名誉棄損容疑で告訴し、法廷闘争を繰り広げ、また最近はチョン・ヒョンジュン前郡守による「金権選挙発言」の録音をめぐり、両者が激しい攻防を繰り広げるなど、対立が深まっていた。

 だが、全完俊郡守の逮捕により、両者の対決が実現するかどうかは不透明になった。全郡守は、数日前に行われた民主党の和順郡守候補予備選で、大差で当選を果たしたが、今回の逮捕により、同党の公認を受けるのは困難になった。同党はほかの人物を公認する意向だという。

 政治家たちの泥沼の争いに嫌気が差していた住民たちは、「今回ばかりは我慢ならない」と立ち上がった。「真の良い選挙のための奉仕団」「金権選挙追放・クリーンな選挙推進委員会」といった民間団体が結成され、クリーンな選挙の実現に向けたPR活動を繰り広げている。

光州=金性鉉(キム・ソンヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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