哨戒艦沈没:虚勢を張っている間に一撃(下)
「中国や日本に対抗して大洋海軍を」と虚勢を張っている間に足下では…
一部の専門家は、「海軍がソマリアに魚雷探知や敵のかく乱などの装備を搭載する韓国型駆逐艦(KDX2)を交代で派遣しているため、NLL周辺での作戦にはこれらの装備を持たない天安などの哨戒艦が多く投入されているのではないか」という疑問も提示している。韓国型駆逐艦は、魚雷が接近するとこれをあらかじめ探知し、強力な妨害音波を発して別の方向に誘導する「対魚雷用音響妨害手段(TACM)」を搭載している。一方、哨戒艦にはこのような装備はない。この問題について海軍関係者は、「ソマリアには韓国型駆逐艦1隻が交代で投入されており、残りの駆逐艦でNLLでの作戦を遂行している」と説明した。
西海NLLを守る最前線で最も重要な役割を果たしている高速艇「チャムスリ」(150トン級)も、一時は大洋海軍論の台頭で十分な整備が行なわれていなかったという。チャムスリは2回の延坪海戦や大青海戦などで、北朝鮮の警備艇と直接交戦して敵を追い払い、時には直接射撃を加えてNLLを守り抜いた。チャムスリ型の高速艇70隻のうち、その半分以上に当たる41隻はすでに耐久年限を超えているにもかかわらず、現場に投入されている。海軍はチャムスリ型高速艇に代わる「尹永夏(ユン・ヨンハ)」級ミサイル高速艇(PKM)を、2008年以降に相次いで配備したが、予算の制限や事業の優先順位の問題で、軍が必要とするだけの数を今後も確保できるかどうかは未知数だ。海軍は2021年までに合計40隻を導入することを目標にしている。
政府と軍による大洋海軍建設は、金泳三(キム・ヨンサム)政権当時の1996年に独島(日本名:竹島)領有権問題で韓日間の対立が表面化したことをきっかけに、本格的に議論がスタートした。96年以降に計画が取りまとめられたイージス艦や、アジア最大級の上陸艦「独島」(1万4000トン級)などが、独島防衛の意志を強く標榜した盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権時代に相次いで建造された。盧前大統領は2006年4月、独島防衛への意志を表明する「独島演説」で、「独島問題はいかなる費用や犠牲を伴ったとしても、決して放棄、または妥協することはあり得ない」と語った。
匿名を希望するある予備役将校は、「海軍は過去10年の間に独島防衛などを前面に打ち出し、大洋海軍に執着してきた。その結果、わが国にとって本当に必要な対北朝鮮の戦力整備を怠ったのは確かな事実だ。今後は、戦力整備の方向性に対する再検討が必要だ」と述べた。
しかし、海軍力の増強には多くの時間が必要となるため、突発的な方向転換は望ましくないという見方も少なくない。ある元海軍作戦の司令官は、「海軍力の増強は10年以上先を見越した上で行わなければならないため、方向性を急に変えるのは危険だ。北朝鮮に対する戦力の備えは当然の急務だが、大洋海軍建設に比べて、それほど多くの費用はかからないはずだ」とコメントした。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者
李衛栽(イ・ウィジェ)記者
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