インタビュー:キム・ナムギル「まだピダムが残っていて、新キャラへの葛藤があった」(下)
―共演者の方との呼吸はどうでしたか。
「特にトンマン(イ・ヨウォン)とミシル(コ・ヒョンジョン)との共演が楽しかったです。オム・テウンさん(キム・ユシン役)やアン・ギルガンさん(チルスク役)とはそれまでも親しくしていたので、そういう親しい方との共演の楽しさもありましたが、トンマンとはラブラインを演じるときのワクワク感、ミシルとは愛憎関係を演じる緊張感などがあって、これらの女優さんとのシーンは楽しかったです」
―コ・ヒョンジョンさんとは、MBC演技大賞授賞式などでも親しい様子が見受けられましたが、プライベートでも親しくなられたのですか。
「実際、親しくなりました。(コ・ヒョンジョンさんは)役柄と似通っているというか、とても正直な方。自分も正直な人間で、そんな率直な関係が視聴者に喜ばれたと思います」
―『善徳女王』の後すぐ、新ドラマ『悪い男』に入られましたが、切り替えはすぐできたのでしょうか。
「実はいまだに切り替えができていないんです。視聴者の方の中にもピダムは残っているかもしれませんが、自分の中にもまだピダムが残っています。そのせいで、(『悪い男』の)演技をしていて非常にプレッシャーがありました。完全にピダムを消し去ることができていないのに、新しいキャラを受け入れることができるのか、どのように新しいキャラを表現していったらいいのか、葛藤(かっとう)がありました。
でも、まったく新しいものを引き出すのは難しいとしても、逆の発想で、今あるものをもっと現代的なものとして深めていくことはできるのではないか、今はその切り替えをする時期ではないかと思っています。『悪い男』のコンウク役は、ある意味ではピダムの現代版、もっと複雑な深い痛みをかかえた人物だと理解して演じています」
キム・ナムギルは『善徳女王』のピダムに傾けた情熱と満足感を本当に楽しそうに語り、また現在のドラマについても率直に口にする。俳優として一作ごとに着実に成長を見せ、輝きを増しているのは、そんな正直な人柄にあるのだろう。
自身が語っていたように、本当にピダムのようにおちゃめで素直、そして周囲への思いやり、気遣いのある好青年だ。この日も、実は体調をくずしながらの来日で、熱もあった状態ながら、そんなそぶりをまったく見せず、インタビューをこなした。「これで終了です」と最後に言うと、「やった!」とクッションを抱きしめソファに体をうずめた姿が忘れられない。謙遜(けんそん)し、不安も口にしてはいたが、新作でも輝きを放つに違いない、と確信できた。
キム・ナムギルほか、イ・ヨウォン、コ・ヒョンジョン、パク・イェジン、オム・テウンら出演の『善徳女王』DVD-BOXⅠ、BOX-Ⅱ(販売元: ポニーキャニオン)が発売中、BOX-Ⅲは5月19日に発売、以降順次発売予定。また、現在BSフジにて毎週木曜日午後7時から放送中だ。
東京=野崎友子通信員
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