大型倒産速報

倒産・動向記事

2010/04/30(金) FMラジオ放送局
株式会社Kiss−FM KOBE
民事再生法の適用を申請
負債6億7000万円

TDB企業コード:530286421

「兵庫」 (株)Kiss−FM KOBE(資本金4億5000万円、神戸市中央区波止場町5−4、代表横山剛氏)は、4月28日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。ラジオ番組放送は当面継続する。
 
 申請代理人は佐藤りえ子弁護士(東京都千代田区丸の内3-2-3、電話03-3214-4731)。監督委員は幸寺覚弁護士(神戸市中央区京町80、電話078-392-3100)。

 当社は、1989年(平成元年)12月に兵庫県、神戸市のほか新聞社、地元経済界の出資を得て設立。翌90年に全国34番目の独立局を開局した超短波放送事業者。運営するFMラジオ局「Kiss−FM」(キッス・エフエム、親局周波数89.9MHz)の受信エリアは兵庫県、大阪府全域及びその周辺570万世帯・約2000万人。開局以来キー局に拠らない独立局として自社制作番組を中心とした独自編成を組んでいたが、業績悪化に伴い番組制作費と人件費が収益を圧迫し始めたため、2003年2月には全国FM放送協議会(JFN)に38番目の局として加盟。キー局の(株)エフエム東京から番組の供給を受けるようになり、2005年3月期は年収入高10億4100万円に対し、約800万円の純利益を計上、黒字転換を果たした。

 しかし、その後は「FM−OSAKA」など競合ラジオ局やインターネットとの競合激化で広告売上が激減し、2007年3月期収入高は約6億8000万円に減少、約6700万円の純損失を計上していた。このため次第に資金繰りが厳しくなり、2009年に入っては給与の遅配、外注の業務委託会社への支払遅延、賃料の滞納が表面化するようになった。

 従業員の退職が相次いで自社番組の制作能力が低下するなか、2009年12月には第三者割当増資先のデューデリ(事前調査)により、実際の年収入高は2007年3月期とほぼ同じだったにも関わらず、2008年3月期年収入高は約9億8000万円、翌2009年3月期は約13億5000万円と約6億円粉飾していたことが発覚。不正会計処理に加えて、第三者割当増資先から払込期限を過ぎた3月25日に6300万円の入金があったものの同日出金されるなど、その不明瞭な増資の経緯や目的についても取り沙汰されていた。
 
 この間、2009年12月から4月までの間に数度にわたる社長交代で経営は迷走状態に陥り、全国FM放送協議会(JFN)からは4月末日をもって除名通告を受けていた。このため、4月15日には臨時株主総会を開き、旧取締役全員の解任を決議し、新たな代表に横山剛氏を選任、自主再建を目指すべく経営状況を精査していたが、過去のバーター取引や架空売上、また売上を装った実質的な高利借入により、短期の資金繰りもつかないことが判明したことから、自主再建を断念して法的整理による再生を目指すことになった。
 
 今後はスポンサーを募り新会社に事業を譲渡、放送免許の承継を総務省に求める意向。なお、4月30日午前10時からANAクラウンプラザホテル神戸(神戸市中央区)にて債権者説明会を開催する予定。

 放送事業者の経営破綻は(株)京都放送(2007年10月会社更生法手続き終結)、(株)エフエム九州(2009年3月特別清算手続き終結)に続く3社目。
 
 負債は現時点で約6億7000万円。

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