相次ぐ自殺、契約訴訟、金銭トラブル……第二次韓流ブームの裏にある、キケンな利権サイゾー4月30日(金) 12時32分配信 / エンターテインメント - エンタメ総合2004年の『冬のソナタ』ブーム以来、日本のエンタメ界に定着した“韓流”だが、韓国の芸能事情までが今、注目を集めている。きっかけは、昨年 7月から続く、東方神起の解散騒動だ。本誌09年9月号でも既報の通り、メンバーのジェジュン、ジュンス、ユチョンが契約内容の不公正を訴え、所属事務所・SMエンタテインメント(以下、SM)の契約効力を停止する仮処分をソウル地裁に申し立てたことで、韓国では5人での活動が不可能な状態に。正式な解散発表も近いと囁かれている。この騒動を受けて、「韓国ではタレントが奴隷契約を結ばされている」と、日本でも報道され、韓流に無関心な人の目まで引いている状況である。 では、奴隷契約とはどんな契約内容なのか。訴訟によって明らかにされた東方神起の場合、「兵役期間を除く13年間の契約。契約不履行の違約金は約80億円」「アルバムの収益配分は、50万枚以上売れた場合のみ1人約80万円(印税はナシ)」「公演を中止した場合、メンバーが金銭的責任を取る」「テレビ出演料は、プロモーション費用として全額SMに渡る(レギュラー番組を除く)」など、労働条件としてはあり得ない内容だ。韓国の芸能事務所全部がそうではないが、多くのタレントが一方的な契約に苦しんでいるとみられている。だが、「音楽系事務所の場合、奴隷契約が発生するのはある程度仕方がない」と、韓国芸能関係者は語る。 「歌手の場合、デビューまでの育成期間が長い。SMをはじめ、音楽系の事務所はどこもスクール機能を持っており、そこで育てた子たちをデビューさせます。まして東方神起のようなスターを育てるためには、事務所側も高額な投資をしなければならず、回収するのに長期契約は必要でしょう。なので13年契約はザラですし、収益配分も下手をしたら事務所にギャラの60〜70%を持っていかれる内容になってしまうんです」 契約書の中身をよく読まずにサインをしてしまう者も多いため、アーティスト側に問題がないとも言い切れないそうだが、それ以上に韓国のお国柄が奴隷契約を受け入れさせてしまう状況を作り出しているという話もある。 「韓国には年功序列を重んじる儒教文化が深く根づいており、目上の人への感謝は、態度で示さなければいけない。だから、育ててもらった恩、多くの練習生の中からデビューさせてくれるという感謝の念と、契約内容を天秤にかけると、前者が勝ってしまうんです。どんな劣悪な契約内容でも、文句は言えないはず。そんな状況で、タレントと事務所が対等でいられるはずがありません」(同) その心理につけ込んで女性タレントに枕営業を強要し、仕事を得る事務所もあるという。これは日本の芸能界にもあるとされる悪習だが、韓国の場合、ターゲットを絞りやすいのだとか。 「韓国のテレビ局はプロデューサー(PD)が制作費の管理から演出まで、一元化して番組制作を行っているので、PDの権力が絶対。その人と事務所の“仲”の良し悪しで、所属タレントの露出頻度や融通具合が変わってきます。韓国の女性タレントの自殺が多いのには、そういった背景もあるのです」(同) 昨年3月に自殺した女優、チャン・ジャヨン(韓国版ドラマ『花より男子』出演)も事務所の枕営業の強要に苦しめられていたとみられ、彼女が残した手紙には、その苦悩やつらさが記されていた。女優に限らず、芸能人の自殺は多発しており、その理由もさまざま。最も多いのはネット上での誹謗中傷を苦にしたものだが、“正直、そんなの無視すればいいのに”と思ってしまうが……。韓国の芸能人のメンタルの弱さは、家族との関係性に起因している部分が大きいという。 「韓国人は基本的に独立心が弱く、“ずっと親元にいたい”と思う節が強い。特に芸能人は甘やかされて育つので、自分に批判が集中した際、それをかわす能力がないんですね。だから自殺してしまうんだと思います。そんな状況になっても、所属タレントを一切守らない事務所も問題ですけどね」(同) ■『冬ソナ』ヒットが韓国に 俳優系芸能事務所を生んだ 一方、“ヨン様”ことペ・ヨンジュンなど、売れっ子俳優になると歌手とはまた話が変わってくる。ヨン様は所属事務所の筆頭株主となっており、イ・ビョンホンやチェ・ジウは個人事務所を設立している。その他の俳優も頻繁に事務所を移籍しているケースが多い模様。韓国エンタメに詳しい放送文化人、ソン・ユジュン氏はこう説明する。 「俳優は5年契約が多く、歌手のような長期契約を結ぶことはほぼありません。収益配分も真逆。俳優7割・事務所3割というケースが多いようです。というのも、韓国は演劇系の教育機関が充実しており、事務所が俳優を一から育てる必要がないからなんです」 確かに韓流スターの経歴を見てみると、大半が大学の演劇学科在学・卒業。韓国ではほとんどの大学に演劇学科が設けられており、実践的な指導が行われるため、新人でもすぐ起用できる場合が多いというわけだ。また、俳優系の事務所が確立され始めたのは、つい10年ほど前。それまで人気俳優は皆、テレビ局所属が当たり前だったそうだ。 「地上波の局のオーディションで選ばれた専属俳優が、自社制作ドラマから人気を獲得するというパターンが主流でした。ところが、日本での『冬のソナタ』ヒット以降、韓国ドラマが日本で売れるとわかり、外部の制作会社が積極的にドラマ制作をしてテレビ局に売り込むようになり、制作形態がガラリと変わった。以来、俳優系の事務所も俳優の数も増えたのです」(ソン氏) だが、ドラマの外注制作が主になったことで、新たな問題も浮き彫りになっているのだとか。それは、俳優のギャラの高さだ。 「ペ・ヨンジュンやイ・ビョンホンのような大スターは、一話あたり約550万円と言われています。韓国ドラマは大体20話前後なので、どれだけ高額になるかわかりますよね。しかもギャラは前払い制。となると、制作会社は後に得られる放映権料やDVDの版権収入などを期待して予算を組んでいても、制作前から資金難に陥ってしまうんです。また、海外販売を前提にドラマが量産されていますが、“前払い制”に縛られすぎて、クオリティーが低下しているのは残念なこと」と、ソン氏は嘆く。さらに、主演クラスの高いギャラに押されて、端役やスタッフが放映後もギャラをもらえないことがざらにあるというのも問題だろう。 ■著作権管理のずさんさで日本企業ともトラブルに こういった韓国エンタメ界の動向を見ると、楽曲やドラマ・映画など、“コンテンツの大量生産”という点では優れているが、それらを制作する上で基盤となるシステムは未成熟といえるのではなかろうか。よく「韓国芸能界のシステムは日本より遅れている」といわれるが、そういった部分に原因があるのだろう。そして、そういわれるのには、もうひとつ大きな理由がある。それは、著作権管理のずさんさだ。 「韓国には著作権管理団体が多く存在し、それらと日本のJASRACに当たるKOMCA(韓国音楽著作権協会)が未提携なので、どこに著作権があるのかわからなくなってしまっているのが実情。04年、第一興商が著作権管理会社『(株)アジア著作協会』から、『冬のソナタ』の主題歌などを無断でカラオケ用に使用したとして、約9億円の損害賠償を求める訴訟を起こされましたが、これは著作権のありかが曖昧になっていたことが原因です。各楽曲も至極適当に多数の著作権契約を結んでいるので、さらにややこしいことになっている。JASRACは07年にKOMCAと提携を結びましたが、こんな状態では管理しきれるはずがありません」(前出・韓国芸能関係者) しかし最近では、やっと改善の兆しが見え始めているのだとか。 「印税制度を作ろうという動きなども出てきており、着実に状況は改善されつつあります。こういった発展は、全部日本のエンタメ市場のおかげ。基本的に韓国では口約束でことが進みがちですが、日本に進出する歌手や俳優が増えたことで、権利に関する厳密さ・契約書に対する意識などをだいぶ学んでいると思います。そういった意味では、今後韓国エンタメがどう変わっていくのか、楽しみではありますね」(同) 東方神起の一件で、韓国の芸能界に対する日本でのイメージが悪くなっているのは確か。今の状況を打開するためには、「韓国政府がある程度のガイドラインを作るべき」だと、ソン氏は主張する。今後、韓国の芸能界がどう進化するのか、期待したいところだ。 (取材・文/遠藤麻衣) 【関連記事】 ・ 海外ゴシップ 日本でも放送間近の韓国版『花より男子』、人気につきまとう複数の陰
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