映画好きが眉をしかめる「ラピュタ阿佐ヶ谷」の内紛サイゾー4月29日(木) 19時31分配信 / 国内 - 社会
だが、そんな流れに水を差すような事件が今、東京都内の名画座で起こっている。杉並区阿佐ヶ谷にある「ラピュタ阿佐ヶ谷」。DVD化はおろか、 VHSすら廃盤になっているような旧作をかける上映プログラムや、年に一度開催されるアニメーションフェスティバルが好評を博し、映画好きから熱い支持を受けてきた同館だが、実は06年からオーナーと従業員の間で労働争議が持ち上がり、いまだ落ち着きを見せていないのだ。 事の発端は、06年4月、同館を経営するオーナー社長・才谷遼氏が女性従業員に暴力を振るった一件から始まった。これを受けて、映画・映像・演劇界の労働者によって組織された映画演劇労働組合連合会(以下、映演労連)のフリーユニオン内にラピュタ支部(組合員6名)が結成され、社長に対して団体交渉を行い、暴力行為の禁止を要求。本事件に関しては、08年1月に東京地裁より、従業員への暴言暴行を禁じる命令が下った。その後、昨年4月には再び組合側が、今度は未払い残業代の請求訴訟を起こし、同12月には全額支払いを命じる判決が下されている。そして、今年に入って今度は映写技師で映演労連ラピュタ支部長の須賀信生氏が突如解雇された上、離職票も交付しなかったとして、再び映演労連はウェブ上で社長を糾弾。このニュースを発見した映画系ブロガーらが自身のブログやツイッターなどで紹介し、そこで伝えられた才谷社長の横暴ぶりが「ラピュタ阿佐ヶ谷にはリアルムスカ(映画『天空の城ラピュタ』の悪役)がいた!」「バルス(ラピュタ崩壊の呪文)してやりたい」などと、半ばネタ化されつつも、注目を集めた。 泥沼化しつつあるこの争議、果たして解決の糸口はあるのだろうか? 労働問題に詳しいNPO法人・POSSE代表の今野晴貴さんは、「労働組合法を活用して、法的に対処するしか方法はないでしょう。それ以上の手段は考えにくいです」という。 どうしても映画館を作りたくて同館を立ち上げ、公式サイトにも「映画館が街からひとつずつ消えていくという長い歴史に終止符をうって、街に映画館ができていく。そのためにちいさな力になれればと、こころのどこかで思ってる」と記している才谷社長。今回のような騒動が公になって、客足が遠のきでもすれば、またひとつ名劇場が失われることにもなりかねないが……。 (松井哲朗) 【ラピュタ阿佐ヶ谷】 東京都杉並区阿佐ヶ谷にある名画座。98年開館。個性的な建物や上映プログラムへのこだわりで、映画好きから支持を受けている。映画人によるトークイベントなどもよく行われている。名前はもちろん『天空の城ラピュタ』から。 【関連記事】 ・ 成熟に背を向ける森田芳光監督が語る「お金と映画」にまつわる本当のところ(前編)
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