過激化する立ち退き抗議=低い補償、自殺者も−中国
(時事通信) 5月2日(日) 16:03:34
【北京時事】上海万博が1日に開幕した中国では急速な経済成長の裏で、開発に伴う立ち退きをめぐるトラブルが後を絶たない。強制的な立ち退きを求められ、住民が焼身自殺を図って抗議するケースが多発。公安関係者は「(政府機関への)陳情では怒りは収まらず、抗議行動が過激化しているようだ」と懸念を強めている。
人々にショックを与えたのは、昨年11月に四川省成都市で工場の女性経営者が立ち退き命令に抵抗し、取り壊しを行う当局者の目の前で焼身自殺した事件だ。国営中央テレビもガソリンをかぶり自ら火を付ける女性の姿を放映、「悲劇」と扱うなど反響を呼んだ。
この事件後、江蘇省などで同じような抗議行動が発生。北京市でも先月下旬、朝陽区の再開発地区で、立ち退きを拒否する9世帯の住宅が事前通告もなく家財道具ごと取り壊され、女性住民1人の抗議による焼身自殺未遂が起きた。
女性の家族は「立ち退きの補償金が低過ぎるので交渉中だった。住宅価格の高騰で住む場所など見つかるわけがない。開発重視で庶民切り捨てだ」と憤りをあらわにした。
中国政府も深刻な実態を受け、老朽化住宅の建て替えには住民の9割以上の同意を必要とするなど、土地収用や補償の基準を明記した新たな条例案を発表。新条例制定を政府に訴えた学者の一人、北京大学の王錫※(※=金へんに辛)教授は「新条例には紛争処理の方法も定められるはずだが、肝心なのは住民に身近な地方当局がきちんと執行することだ」と強調した。
[時事通信社]
最新ニュース
- ギリシャに15兆円支援合意 EUとIMFが協調融資 5月02日(共同通信)
- ASEANと日中韓の会議開く 金融危機脱却を確認へ 5月02日(共同通信)
- 核廃絶、連日の訴え=被爆者高齢化で募る焦燥−NY 5月02日(時事通信)
- 融資合意を正式発表=ユーロ圏、IMFと−ギリシャ首相 5月02日(時事通信)
- 期限示し具体化を=被団協代表団長、合意に期待−NPT会議 5月02日(時事通信)