1966年5月1日、中国・内モンゴル自治区の最高指導者だったウランフは北京入りし、自由を奪われた。「10年の動乱」と呼ばれる文化大革命が正式に始まったのは半月後。少数民族出身の代表的な政治家は早々と打倒されていた。
▼その後、内モンゴルでは「民族の虐殺」が起きた、と楊海英氏の「墓標なき草原」(岩波書店)は語る。控えめな公式の見積もりでも、2万7900人のモンゴル族が殺害された。拷問のために障害が残った人は12万にのぼる。それぞれ、内モンゴルに暮らしていたモンゴル族の全人口の1.8%、8%に当たる。
▼内モンゴルには日本も深いかかわりがある。かつて日本が作ったかいらい国家の満州国には、モンゴル族も多く住んでいた。日本的な近代教育を受けた若者たちは、その後の内モンゴルの歴史に決して浅くない足跡を刻んでいったのである。そして日本とのつながりは文革の間に迫害を受ける「罪状」ともなった。
▼ウランフの失脚から44年の歳月を隔てた今日、上海万博の幕が開く。内モンゴルの文物などを展示するパビリオンもお目見えする。だが、あの民族の悲劇に触れることはないだろう。文革に関する研究がほとんどできないお国柄である。幸いにして自由の国となった日本に暮らす身として、せめて思いをはせたい。
ウランフ、内モンゴル自治区、中国、内モンゴル、北京、自由、指導者、パビリオン、政治家、かいらい国家、動乱、春秋
日経平均(円) | 11,057.40 | +132.61 | 30日 大引 |
---|---|---|---|
NYダウ(ドル) | 11,008.61 | -158.71 | 30日 16:30 |
英FTSE100 | 5,553.29 | -64.55 | 30日 16:35 |
ドル/円 | 93.84 - .88 | -0.33円高 | 1日 5:48 |
ユーロ/円 | 124.83 - .92 | -0.34円高 | 1日 5:48 |
長期金利(%) | 1.280 | ±0.000 | 30日 17:30 |
NY原油(ドル) | 86.15 | +0.98 | 30日 終値 |
経済や企業の最新ニュースのほか、大リーグやサッカーなどのスポーツニュースも満載 詳細ページへ
日経ニュースメール(無料)など、電子版ではさまざまなメールサービスを用意しています。
(詳細はこちら)