陸川監督
インタビュー(2) |
「南京!南京!」 屈辱ではなく中国人の栄光を語る |
● 「南京!南京!」はどうして日本人の視点から撮っているのか? |
陸川監督:まず偏見を捨てて、平常心になってください。これは単なる方法論であって私の世界観を代表するものでも、私の感情でもない。戦争を反省している日本人がいるのかと聞かれれば、「いる」と答えます。その資料をお見せしよう。この点を認めても中国人が損するわけではない。反対に世界からより尊重を受けることになる。これまでの私たちの映画はすべて自分たちの角度から語ったものだった。自己満足に浸っても永遠に外には出られない。「全文へ」 |
● 今インターネット上で「日本人の弁護をしている」という声があるが。 |
陸川監督:心底無私であれば天地寛(ひろ)し。まだこの映画を観た人は少ない。あなた方が最初の観客だ。インターネット上の情報は面白おかしければいいというところがある。まず情報ルートを買収して、それから世論を誘導する。観衆に対する一種の組織的な誘導であって、正当でない業界競争だ。私だって民族感情を晴らすものを撮ることはできるが、それが何の役に立つのか?国に対する思いがなければどうして4年もこの映画に捧げることができるだろうか。4年ですよ、大学も卒業できますよ。私たちのこの若いチームはこの国のために何かしたいだけです。「全文へ」 |
● 映画館に行って再びこの沈痛な歴史に面と向かうよう、どうやって観衆を説得しますか。 |
この映画は屈辱ではなく、中国人のかつての栄光を語るものだ。抵抗の火種は一度も打ち消されることはなかった。映画の中の一人一人の抵抗が私たちに希望をもたらしてくれる。「愛を読むひと」のプロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタイン氏は「南京!南京!」の北京試写会に特使を派遣してきた。本人は香港でこの映画を鑑賞し、買い取ることを約束した。また、この映画を通じて中国人の今日の業績を理解し、この映画は大使のごとく全世界を駆けめぐり、中国人民の勇気と尊厳を人々に知らしめるだろうと話していた。これまで中国映画は世界にどういったイメージを配信していたのだろうか。「全文へ」 |
● 撮影中、日本人俳優を説得するのは難しかったか? |
陸川監督:彼らは自分で自分を説得していました。日本の一部の学者、例えば松岡環女史の著作「南京戦・元兵士102人の証言」には映画の中の暴行シーンがすべて描かれている。私は彼らにこの本を読ませました。私たちの間は契約関係で成り立っています。彼らは自分の役を信じてうまく演じ、私は彼らに演技を強制しません。お互いが納得してから演じます。でなければ私のイメージする鬼のような日本兵となってしまう。彼ら自身が理解し、表現する必要があります。彼らは一人一人が長文の人物像を書き出し、私の方向性を理解しようと努めていました。私たちは協力して楽しく撮影ができました。「全文へ」 |
● 映画の結末でどうしてあんなに時間を割いて日本軍の祝賀パレードを表現したのか? |
陸川監督:長いですか?2分もないですよ。ずいぶん長く感じられましたか?実は警鐘を鳴らしているのです。私たちは常に軍国主義を打倒すると口にするが、軍国主義を見たことがありますか?この場面がそうです!ここで表現したかったのは戦争がいかに人の魂をコントロールするかということ。戦争が起こる前には必ず文化によって戦争の執行者への洗脳が行われる。精神の絶対的なコントロールと占領こそが戦争の本質です。戦争の核心的結果は、異なる民族の文化を被侵略者の廃墟の上で踊らせることです。これは私が夢の中で思いついたことです。2007年8、9月に脚本と葛藤しているときにうたた寝をして、うとうとしながらこの場面を夢見ました。「全文へ」
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日本人俳優 |
● 日本人俳優:日本人居住区に拠点を設定 |
「最初、スタッフたちはビクビクして忍び足になっていたが、だんだん気にしなくなった」と陸川監督は当時を振り返る。「私たちは日本人に隠れて悪いことをしているわけではないんだから、彼らの前で当時の歴史を誠意を持って率直に話しても当然構わない。歴史に目を向けることは勇気のいることだ」...「全文へ」 |
● 日本人俳優:強姦シーンで女優に触れない |
強姦シーンを撮影する際、日本人俳優は女優の体にどうしても触れなかった。陸川監督は彼らに言った。「君らが演じないなら、この女の子たちはずっと裸のままでいなければならない」。そして撮影が終了し、監督が「OK」と叫ぶと、日本人俳優はすぐさま女優たちに服を渡してお辞儀をしたという...「全文へ」 |
● 試写会で日本人俳優が涙 |
ある観客が日本人俳優の中泉英雄さんに、この映画に出演した気持ちをたずねた時だった。会場からは「打倒帝国主義」や日本語で「バカ」と罵る声が上がった。中泉さんは少し気まずそうな表情を浮かべて黙りこみ、会場の雰囲気が重くなった瞬間、「日本人の俳優に対してこんなふうなのはよくない」や「彼らは尊敬すべき人だ」、「彼らは勇敢です」と観客が叫び、熱烈な拍手が送られた...「全文へ」 |
役決め:小豆子は一枚の写真がもとに |
「南京!南京!」はモノクロ画面で、すべての主役には原型がある。「モノクロの画面では血は黒い」と陸川監督は語る。この題材を撮りたい中国人監督にとって、最大の強みは膨大な数の日本兵の日記を読めることだという。「樊建川という私の友人が、自分の貯金をはたいて28の博物館を建てた。そのなかに全国最大の抗日戦争の写真館があって、50万枚以上のモノクロ写真が収められている。すべて彼が日本で買ってきた写真集だ...「全文へ」 |
制作状況:スタッフが発狂 |
「南京!南京!」の撮影期間中、陸川監督は3回盲腸炎にかかって入院したが、毎回点滴と薬で治療してきた。3回目の盲腸炎は長春での撮影中にかかった。当時、撮影しながら城壁の外にある堀に倒れ込み、スタッフが振り向くと「監督が消えた」ということがあった。こういった生理的な痛みのほかに、陸川監督は心理的なプレッシャーにも耐えなければならなかった。「私の役目はいかに人をはぐらかすか。人が崩壊しないように」と監督は笑いながら話す...「全文へ」 |
「南京!南京!」を通して見る陸川監督 |
陸川監督自身も特にリュウ・イエの役が銃殺されるシーンで涙が出るという。監督はこの映画を1万回以上見ているが、そのシーンになると毎回泣いてしまう。もしかすると監督にも他の少年と同じように戦場で敵と戦ってみたいという夢があるのかもしれない。だから監督は「南京!南京!」の市街戦の撮影にこだわり、劉助アが扮する人物を「陸」と名付けたのだろう...「全文へ」 |
江一燕:涙の日本人俳優を励ます |
江一燕は撮影を振り返り、「日本人の役者との共演中はずっと、複雑な気持ちを感じていました」と語る。役に入り込むあまり、撮影以外のときでも日本人俳優と話をすることはなかったという。しかし最近、杭州で舞台挨拶をしたとき、客席から日本人俳優に罵声が飛び、角川役を演じた中泉英雄さんが舞台の裏で号泣するという出来事があった。「全文へ」 |
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