伊勢崎佐波医師会病院(伊勢崎市下植木町)に救急搬送された同市茂呂町の男性(当時72歳)が、同病院で呼吸困難に陥り死亡したのは医師と看護師の治療などが不適切だったためとして、遺族が伊勢崎佐波医師会を相手取り、約7500万円の損害賠償を求めていた訴訟で、前橋地裁(松丸伸一郎裁判長)は30日、同医師会に約4000万円の支払いを命じる原告勝訴の判決を言い渡した。
判決によると、男性は05年4月、自転車で走行中に転倒。左鎖骨と肋骨(ろっこつ)を骨折し同院に救急搬送された。男性は翌日、心肺停止に陥り集中治療室(ICU)で治療を受けたが、死亡した。死因は左鎖骨骨折でできた血腫が気管を圧迫したことによる窒息死だった。
判決では、同病院の担当医は男性の視診、触診、聴診を行うにとどまり、出血性ショックや呼吸困難に陥る可能性を前提にした検査などを看護師に指示しなかったと指摘。気管切開で気道を確保するなどの一般的な治療を行っていれば「男性を救命できた可能性が極めて高かった」と病院側の過失を認定した。【塩田彩】
毎日新聞 2010年5月1日 地方版