北朝鮮館内にある噴水=1日、日吉健吾撮影
英語で「人民の楽園」と書かれている北朝鮮館の内部=1日、日吉健吾撮影
アフリカ連合館の中で観客を集める巨大な美術展示=1日、関口聡撮影
台湾館(左)と中国館=1日、日吉健吾撮影
上海万博が1日開幕し、パビリオンの公開が始まった。北朝鮮は中国の支援で初めて万博に登場、「人民の楽園」をアピールする。台湾は中国から見て「外国」の場所に出展。中国が資源外交を繰り広げるアフリカからは万博史上最多の約50カ国が参加する。会場を歩くと中国の国際政治が透けて見える。
日本館から南へ約200メートル。白を基調にした建物に描かれた赤と青の北朝鮮の国旗が、目に飛び込んできた。北朝鮮筋によると、2007年9月に北朝鮮から参加の意思を中国側に伝え、「中国の支援基金で出展を実現した」(北朝鮮館)という。
日本館は2〜3時間待ちのところ、北朝鮮館は待ち時間なし。質素な造りの門をくぐると、約1千平方メートルの長方形の空間が広がっていた。まず目に入るのは首都平壌の全景写真。その手前には、主体思想塔のレプリカがあった。高さは約5メートルと目立つ。
北朝鮮館のテーマは「繁栄の平壌」。会場内にはテレビモニターが設置され、金正日(キム・ジョンイル)総書記の肖像画が掲げられた学校の授業風景や、遊園地で楽しむ子供の姿、スーパーの棚の豊富な物資などを繰り返し放送していた。モニターの上には「人民の楽園」と大きな文字。イメージアップを狙う北朝鮮の姿がうかがえる。
黒竜江省から来た工場経営者の楊生さん(50)は、軍服を着た女性が一糸乱れず演技する映像の前で足を止め、声を出して笑った。「70年代の中国と全く同じだ。懐かしい『紅色』の感覚がある」
北朝鮮の切手や写真集、DVDなどを扱う売店はごった返していた。切手セット2冊を260元(約3500円)で買った男性(38)は「めったに手に入らない物だから値段は高くてもいい」。北朝鮮筋は「外貨獲得の重要な手段として国家的に力を入れている」と言う。