金融庁は10月23日、フランスBNPパリバ証券の東京支店が、事実に反する報告書を同庁に提出したり、特定の上場株式の相場を固定させたりしたと認定し、業務停止命令と業務改善命令を出した。11月2―16日の2週間、同支店の株式派生商品統括本部が行うすべての業務を停止させる。BNPパリバ証券は同日、安田雄典日本代表が一連の問題の責任をとり退職すると発表した。フィリップ・アヴリル日本支店長が11月1日より代表を兼務する。
BNPパリバは2008年11月、経営破綻(はたん)したアーバンコーポレーションの資金調達をめぐる問題行為で、金融庁から業務改善命令を受けたが、その後に同庁に提出した報告書は調査、検証が不十分で、事実に反する記載があった。
またBNPパリバのトレーダーが2008年11月、特定の上場銘柄に対し大引け直前にストップ高の1円下およびストップ高の指し値で大量の買い付け注文を出し、相場を固定させた。
それぞれ、金融商品取引法や同法に基づく内閣府令に違反したとして、証券取引等監視委員会が金融庁に行政処分を出すよう勧告していた。
金融庁は、事実に反する報告を行政に支障を与えかねない「重大な問題」とし、相場固定については市場の公正性・透明性を損なう「悪質な行為」と指摘している。
同庁が今回の業務改善命令でBNPパリバに求めたのは、役職員の責任所在の明確化をはじめ、研修の実施、内部調査・監査の強化、売買審査体制の見直し、既存の業務改善策の見直し、各施策の実施状況の報告、という合計6項目。
なお、アーバンの資金調達の問題をめぐっては、すでに日本証券業協会がBNPパリバの会員権を6カ月間停止し、過怠金1億円を科す処分を出している。
■関連情報
・金融庁のWebサイト http://www.fsa.go.jp/