東海旅客鉄道(JR東海)は28日、東京―名古屋間で建設準備を進めているリニア中央新幹線の開業時期を従来計画の2025年から27年に延期すると発表した。景気低迷で東海道新幹線の収入が減ったためで、新幹線頼みの収益構造が改めて浮き彫りになった。収益源の多様化に向け、同社は海外市場の開拓に力を入れる方針で、29日からは葛西敬之会長が訪米、新幹線やリニアの売り込みに本格的に乗り出す。
「合理的な前提条件に修正した」。山田佳臣社長は28日、名古屋市内の記者会見でリニア開業延期についてこう説明した。
07年12月に発表した25年の開業目標は、07年度の予想鉄道収入(1兆1730億円)の水準維持が前提だった。ところが08年秋以降の急激な景気悪化で、状況は一変。営業利益の9割以上を稼ぐ東海道新幹線の旅客需要が伸びず、09年度の新幹線収入は前年度比8%減と、1987年の民営化以来最大の落ち込みとなった。
このため毎年の鉄道収入見込みを06~10年度の平均値(1兆1260億円)と、従来見込みより4%減らしてリニア建設にかかる年数を再計算。5兆円超の総事業費を単独で賄いながら開業にこぎ着けられる時期を27年とした。
併せて東京―大阪間の開業目標を45年とすることも発表。14年度の着工を目指す。
一方で、海外市場の開拓に向けてはアクセルを踏み込む。
同社は米国の「ワシントンDC―ボルティモア間を第1目標」(葛西会長)にリニアを海外輸出する方針だ。日本での開業延期で、競合する海外の鉄道事業者から「日本のリニアは計画が遅れぎみ」と指摘される事態もあり得るが、山田社長は「(延期の)影響はまったくない」と強調した。
葛西会長は、約10日間の訪米日程の前半は前原誠司国土交通相に同行し、ラフード米運輸長官らと会談する。後半は、JR東海に協力する米コンサルタント会社が推薦する、鉄道業界に顔が利く有力経済人らと会うもようだ。
背景にあるのが世界の鉄道需要の拡大だ。欧州鉄道産業連盟(UNIFE)によると、車両や運行管理システム、電気設備など鉄道関連産業の世界市場は年16兆円を超え、16年までは年率2~2.5%程度で成長するとみている。
国内の新幹線頼みを脱却し、海外事業を新たな収益源に育てられるか。リニアの開業延期と海外トップセールスは、成長に向けた2つのハードルを浮き上がらせる。
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