(CNN) 台湾の国民党政権を率いる馬英九(マー・インチウ)総統は4月30日、中国との有事が発生した場合、台湾支援で米国の参戦を求める考えはないとの立場を表明した。CNNとの会見で述べた。
馬氏は、中国との衝突のリスクを削ぐため米国からの武器調達は今後も続けるとしながらも、有事が起きても米国の参戦を促す考えはないと述べ、「この方針は極めて明瞭である」と強調した。また、自らこれまで進めてきた対中関係改善の成果で、中台紛争に米国が巻き込まれる危険性は過去60年間で最も少ないとし、台湾と中国との間の緊張の火種も大きく減じたとの見方も示した。
総統は会見で、航空路線、食糧、観光客招致や司法協力などの分野で中台は過去2年間で12件の協定に締結したとし、いずれの協定も台湾の主権や領土を犠牲にしたものではなく、台湾の繁栄と安定に寄与するものだと強調した。
しかし、米国からの武器調達については、台湾海峡の平和と安定の維持のために極めて重要との見解を表明。米国が武器輸出を現在の水準から縮小すれば、中台を含む地域情勢の信頼を低下させることになると述べた。
武器輸出を含む米台間の関係に中国は神経をとがらせており、今年1月には米国による台湾への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)システムやヘリコプター「ブラックホーク」など総額60億米ドル以上の兵器売却決定に強く反発、撤回を要求している。ただ、米国は台湾側が求めていたF─16戦闘機の売却は見送っていた。
中国は、台湾は自国領土の一部と主張している。