政府は30日の閣議で、郵政改革法案を決定した。日本郵政グループを現在の5社から3社に再編し、株式の一定割合を政府が保有して関与し続けることが柱。小泉政権の民営化路線からの転換を意味する。政府は今国会での成立を目指しており、5月中旬に審議入りする見通しだ。
鳩山政権は民営化路線によって郵便、貯金、保険の一体経営が損なわれたと批判。法案では2011年10月1日に日本郵政グループの持ち株会社、郵便事業、郵便局の3社を合併し、新たな「日本郵政株式会社」とする。傘下にはゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融2社をぶら下げ、3社体制に再編する。
政府は親会社の株式の3分の1超を保有し続ける。ゆうちょ銀行、かんぽ生命の全株式を外部に売却する「完全民営化」路線を捨て、親会社が両社の株式の3分の1超を持ち続ける。政府が100%保有している親会社の株式比率をいつまでに引き下げるか、時期は明示しなかった。
現在は郵便業務のみに義務づけられている全国一律サービスを、貯金と保険の金融事業にも拡大。その費用をまかなうため、新規業務への参入規制を緩める。法の成立後、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額を2千万円(現行1千万円)に、かんぽ生命の保障限度額を2500万円(同1300万円)に引き上げる方針だ。