声を詰まらせながら、ファンにプロレス復帰を報告するゼウス=松下IMPホール
「大阪プロレス、11周年記念大会」(29日、松下IMPホール)
ボクシングの重量級に挑戦していたゼウス(28)=本名・金谷成格=が、6人タッグ戦で1年ぶりにプロレスのリングに復帰した。筋肉の塊だった身体は、ボクサーとしてのトレーニングで驚くほどスリムに。それでも相手選手をリフトアップするなどパワーは健在だった。試合は組んだユタカがフォールを奪われ“復帰白星”とはならなかったが、観客からは大きな拍手が降り注いだ。
「日本のベルトを取ってくる」と宣言し、プロレスの世界を飛び出したが、甘くはなかった。初受験のプロテストでは技術不足で不合格。その後に合格したものの、デビュー戦では判定で完敗。これがプロボクサー「ゼウス金谷」としての、最初で最後の試合となった。
爪あとさえ残せず、帰ってきたプロレスのリング。しかしファンは温かかった。試合後、大「ゼウス」コールの中で「久しぶりにこのリングに立てて幸せやし、誇りに思ってます!」と声を詰まらせた。失敗に終わった転向についてゼウスは「生半可な気持ちでは、頂点に立てないと分かった」と、自身のかつての“慢心”を認めた上で「神様が与えてくれた試練と考えています」と前を向いた。
「ファンに応援されて、プロレス界で活躍していくことが目標」。1年前の夢は、グローブとともに封印した。迷いを断ち切った怪力男が、浪速の街を盛り上げる。
(2010年4月29日)