「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(30日、日本武道館)
ダブル世界戦の前日計量が29日、東京・後楽園ホールで行われ、WBC王者・長谷川穂積(真正)は53・4キロ、WBO王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)は53・5キロでクリアした。事実上の統一戦となるV11戦にファンの注目は日々高まっており、中継局の日本テレビは予定していたディレイ放送(時間差をつけた放送)を取りやめ、リアルタイムで放送することを緊急決定した。王者・西岡利晃(帝拳)と挑戦者バルウェグ・バンゴヤン(フィリピン)も、ともにリミットの55・3キロでパスした。
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ビッグマッチを翌日に控え、いよいよ決戦ムードが高まってきた。計量を一発でクリアした長谷川とモンティエルは互いに歩み寄り、両手でがっちりと握手。目と目を合わせ、静かな火花を散らした。
長谷川は「修羅場をくぐってきているだけのことはある。ずっしりと構えていて、いいオーラを持っている」とWBO王者を高く評価。それでも「リングに上がれば関係ない。思いっ切り殴るだけ」と腕をぶし、「強い相手だからこそ自分も強くなれる。あしたはどんな自分が見られるか楽しみ」と目を輝かせた。
強敵との戦いを前に胸を躍らせる長谷川に、さらなる朗報が届いた。V11戦の“生放送”が決定したのだ。ダブル世界戦を中継する日本テレビは当初、セミファイナルの西岡戦を先に放送し、長谷川戦は約30分遅らせて放送する予定だった。それを試合2日前の28日になって、夜7時17分ゴングの長谷川戦をリアルタイム放送に切り替えた。
日本テレビの若月寿朗チーフプロデューサーは「ここにきて周りのみなさんの温度感が一気に高まった。視聴者からの問い合わせも今までの世界戦よりだいぶ多い」と、想像以上の注目の高さに驚き顔。放送日直前の変更は「ほとんど例がない」と話し、「ビッグマッチは原点に戻ってリアルタイムで放送するべきではないかということで決めました」と笑顔で説明した。
この決定を長谷川は「ナマの方が見ている人も楽しいでしょうね」と大歓迎。「(ファンの)注目は高まっているが、やるべきことは一つです」と気合を入れ直した。“王座統一”を果たし、お茶の間に「リアルな感動」を届ける。