「WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ」(30日、日本武道館)
王者・西岡利晃(33)=帝拳=が、挑戦者バルウェグ・バンゴヤン(23)=フィリピン=を5回1分14秒TKOで下し4度目の防衛に成功した。5回に左カウンターでダウンを奪い、バンゴヤンが立ち上がったところを連打で仕留めてレフェリーストップ。西岡は初防衛戦からの4連続KO勝利をマーク。夢のラスベガス進出へ大きく前進した。
◇ ◇
真っすぐに伸びた左が強烈なカウンターとなってアゴを打ち抜いた。挑戦者はたまらず腰から砕けるようにキャンバスに崩れ落ちた。余力をふりしぼり立ち上がったものの、この時点で勝負は決していた。西岡は冷静かつスピーディーな連打を打ち込み“獲物”を仕留めた。
日本では初となる初防衛戦からの4連続KO勝利。「左のパンチは狙っていたのではなく、自然に出たパンチ。4回に採点を聞いて5回に出てきてくれたからやりやすかった。相手の動きは思った通り。いい形で終わることが出来て良かった」。傷ひとつない顔で涼しげに振り返った。
プロ生活17年目を迎えた33歳は日々進化している。主武器の左ストレートの精度を高めるため、昨年10月のV3戦後から体幹の筋肉トレーニングを取り入れた。これにより体がぶれなくなり、パンチを放った後に体が流れることもなくなった。より強く、より正確なパンチを習得した。
東京での単身生活は今年で3年目となる。美帆夫人(29)と長女・小姫ちゃん(4)は夫人の実家である兵庫県尼崎市で暮らしている。小姫ちゃんは来場を予定していたが、29日に発熱したため尼崎でお留守番。「今日の勝利が最高のプレゼントになった」と笑顔をのぞかせた。
V5戦は現在未定で、同級1位ランドール・ムンロー(英国)との指名試合の可能性もある。「日本の世界チャンピオンではなく、ラスベガスでも知られるような世界の西岡になりたい。スーパーチャンピオンになりたい」。海の向こうにある夢はもう手の届くところにある。