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きょうのコラム「時鐘」 2010年5月2日
ショパンの曲は、どこを切ってもショパンの味がする。美しくて切ない味わいである。ピアノの詩人と呼ばれ日本人が大好きな響きが五月の風とともに流れてくる
が、ショパンの曲は弾き手次第で、天国の音色にも地獄の音にもなるという評論家もいる。3年目を迎えたラ・フォル・ジュルネは、その何人もの弾き手に直接触れることができてうれしい ショパンコンクールで5位入賞のピアニスト、金沢出身の宮谷理香さんは、コンクール前日にショパンの眠る教会を訪れた。それまでの葛藤や緊張感がすっと脱け、ショパンの曲と出会えたよろこびや感謝が素直に心に残ったという(CDから) 世界と金沢を結ぶのにふさわしい演目には、能舞とクラシックのコラボレーションもある。同じ時代に生きていた東の古典芸能と西のクラシックが、21世紀の北陸で出会って一体化する。笛や箏とショパンの融合は文字通り「幻想的」である 時空を超えて人と人がふれあい、邦楽とクラシックが、東西の二つの文化が、予想もしなかった地で出会う。ラ・フォル・ジュルネの魅力の泉はこの出会いにある。 |