2010年3月12日 23時45分
政府は12日、高校授業料の実質無償化で焦点となっている朝鮮学校の扱いについて、制度開始予定の4月時点では対象外としつつ、文部科学省に第三者による評価組織を設置し、教育内容を精査した上で最終判断をする方針を決めた。朝鮮学校を対象とすることには拉致問題などを背景に閣内でも異論が出る一方、教育の場に外交問題を持ち込むことへの批判も根強い。評価組織の設置でいったん問題の沈静化を図る狙いがあるとみられる。
鳩山由紀夫首相は同日、首相官邸で記者団に「4月に間に合うかどうかよりも、(支給条件が十分か)正確を期すことの方が大事だ。文科省を中心に客観的に評価できるシステムが必要だ」と述べ、朝鮮学校は当面、対象に含めない考えを示唆した。
また、平野博文官房長官も同日の記者会見で「客観的に学校がどういう状態か(第三者)機関で評価していただく。結果的に多少、遅れることになるかもしれない」と語った。
評価組織では、朝鮮学校や他の外国人学校を含む各種学校の教育内容について、支給基準となる「高校の課程に類する課程」に該当するかを検証するとみられる。ただ、朝鮮学校以外も対象とするかについて平野氏は「文科省に聞いてほしい」と述べるにとどめた。
朝鮮学校を巡っては、中井洽・拉致問題担当相が拉致問題を念頭に対象外とするよう川端達夫文科相に要請。首相も2月25日に記者団に「(対象外とする)その考え方は一つある」と対象外とすることに前向きな姿勢を示していた。【横田愛】