2010年3月11日 0時57分 更新:3月11日 2時18分
【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)は10日、乱獲で個体数が減少している大西洋と地中海のクロマグロの国際取引を禁止する措置を支持することを決めた。絶滅の恐れがある動植物を保護するワシントン条約の締約国会議が13日からカタールで開かれるのに先立ち、米国に続いてEUが取引禁止で足並みをそろえたことで、世界最大の消費国・日本は一層苦しい立場に追い込まれた。
議長国スペインが10日、ブリュッセルで開いた加盟国代表者会合で、英国、オランダなどの保護優先派と、手厚い補償措置を求める漁業国の主張を盛り込んだ妥協案を提示し、合意を取り付けた。
合意では、EU加盟国間の取引は「国際取引」にあたらないとして認められ、地中海沿岸などで伝統的に営まれている漁も継続が容認された。
13~25日にドーハで開催されるワシントン条約締約国(175カ国)会議では、クロマグロを「絶滅の恐れがある動植物」に含め、国際取引を禁じるよう求めるモナコ提案が採決にかけられる。投票国の3分の2以上が賛成すれば取引禁止が決まる。米国は3日、取引禁止支持を発表した。採択された場合には、日本は決定に縛られない「留保」の権利を主張する構えだ。