2010年3月9日 20時23分 更新:3月10日 1時7分
政府は9日、独立行政法人、公益法人を対象とする「事業仕分け第2弾」の省庁ヒアリングを開始し、対象法人の選定作業が本格化した。仕分けのターゲットとなるのは、収入の半分以上を公費が占めるなど各省庁と密接な関係にある天下り法人。枝野幸男行政刷新担当相はヒアリング開始前、民主党の蓮舫参院議員ら「議員仕分け人」たちに「来年の今ごろはこういった法人は一つも許されないというようなことにしたい」と呼びかけ、「官」側に宣戦布告した。
ヒアリングは「天下りを受け入れている」など7基準のうち複数に該当した290公益法人のほか、98独立行政法人について事業内容を聴取するもので、4月下旬の開始を想定している事業仕分けのいわば前哨戦。1週間程度続けたうえで一部は再ヒアリングし、4月上旬には仕分け対象の法人を決定する。
これまで天下り法人が国から受注してきた事業や補助金、基金の中に、官僚OBの人件費など「無駄遣い」が多く含まれると見ており、こうした公費の支出を止めるのが仕分け第2弾の狙いだ。公費依存度が高い法人は、事業が「不要」と判定されただけで存続の危機に直面する。枝野氏は9日の記者会見で「『予算がついているんだから(事業のあり方を)変える必要はない』と思っているところはばっさりやられる」と強調した。
枝野氏は同日、290法人のうち過去に国会審議や会計検査院に問題点を指摘された50法人を公表した。建設技術の調査などを行う国土交通省所管の「国土技術研究センター」は、民主党の川内博史衆院国土交通委員長が08年2月の衆院予算委員会で「常勤役員4人全員が国交省出身で、年間50億円ぐらい国交省から随意契約で仕事をもらっている」と批判。長妻昭厚生労働相も08年当時、同省との随意契約が多い法人の一つとして問題視していた。
また、経済産業省所管の「新エネルギー財団」は09年10月、基金の額が上限を超えたとして1億3988万円を国庫に返納するよう会計検査院から指摘されている。
枝野氏は「独法、公益法人という仕組みへの国民の不信を払しょくするところまでメスを入れる」と意気込んでおり、独法については6月、公益法人に関しては年内をめどに制度そのものの改革を求める提言をまとめる。【影山哲也】