2010年3月9日 15時36分 更新:3月9日 19時35分
「1票の格差」が最大2.30倍となった09年8月の衆院選を巡り、那覇市の男性弁護士が沖縄1区の選挙無効を求めた訴訟で、福岡高裁那覇支部は9日、小選挙区全体を違憲状態と判断したが、選挙無効の請求は棄却した。河辺義典裁判長は2倍超の格差について「投票価値の平等を侵害している」と指摘する一方、最高裁が定数配分や区割りを合憲と判断していたことから「国会が憲法上要求される合理的な期間内に是正しなかったとは言えない」と述べた。原告は上告する方針。
最小の高知3区と最大の千葉4区との間で2.30倍となった09年衆院選を巡る訴訟では、09年12月の大阪高裁、10年1月の広島高裁が違憲と判断。同2月の東京高裁は「国会が是正しなかったのは裁量権の逸脱とまでは認められない」として「違憲状態」としていた。
高裁那覇支部判決は、格差が2倍を超える定数配分や区割りが09年衆院選当時、憲法上の選挙権の平等の要求に反し、違憲状態に至っていたと指摘。過疎地域への配慮から、現在の小選挙区の定数300のうちまず1議席ずつ47都道府県に割り当て、残りを人口比で振り分ける「1人別枠方式」を格差の原因と認定した。
1票の格差を巡る訴訟で、最高裁は格差が許容される程度を超え、憲法の要求する選挙権の平等に違反する場合を「違憲状態」とし、その状態を是正するための合理的な期間が既に経過している場合を「違憲」と判断している。那覇支部判決も最高裁の判断を踏襲した。
公職選挙法により、国政選挙の無効確認訴訟の1審は高裁で審理される。【三森輝久】
【ことば】1票の格差
有権者の1票の価値を選挙区間で比べた際の差。選挙区の人口(有権者数)を議席数で割り、議員1人当たりの人口が最も少ない選挙区を基準に倍率で表す。