2010年3月9日 4時5分 更新:3月9日 11時6分
太陽の南極と北極に黒点並みに強い磁場が斑点状に散らばっていることを、国立天文台などが太陽観測衛星「ひので」を使って発見した。黒点のもとになる「たね」と考えられるという。国立天文台の常田佐久教授(太陽物理学)は「極域の磁場は将来の黒点数の重要な指標。地球の気候変動を予測する材料にもなるかもしれない」と話している。
国立天文台野辺山太陽電波観測所(長野県南牧村)の下条圭美助教(同)らは、ひのでで極域付近の磁場を観測。両極に黒点とほぼ同じ1000ガウス程度の磁場が数十個点在することが分かった。直径約4000キロと黒点の10分の1以下、平均寿命は約10時間で、黒点(数日から数カ月)より短かった。
極域付近の磁場は、太陽の自転や対流によって内部で増幅され、約11年後に赤道付近の表面で一部が飛び出すと黒点になる。従来考えられていた極域の磁場は黒点のたねとなるには弱すぎたが、今回の磁場は十分な強度を持つという。
黒点の数は11年周期で増減し、現在は数が減る「極小期」。07年以降はほとんど現れず、黒点がまったくない日は通常の極小期より多いうえ、周期も延びている。過去には数百年から1000年の間隔で、50~100年にわたり黒点がない時期があり、その多くは地球の寒冷期と一致する。【須田桃子】