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2010-04-30

『世界史の中の現代朝鮮』エイドリアン・ブゾー

| 12:04 | 『世界史の中の現代朝鮮』エイドリアン・ブゾー - 上田亮の只今勉強中 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『世界史の中の現代朝鮮』エイドリアン・ブゾー - 上田亮の只今勉強中 『世界史の中の現代朝鮮』エイドリアン・ブゾー - 上田亮の只今勉強中 のブックマークコメント

朝鮮近現代史の概説書。扱っている範囲は、主に日本の植民地支配から現在まで。

積読だったのを諸事項の確認のためだけに開いたのだが、この際なので全て読み通した。著者はオーストラリア人で、メルボルンの大学の元上級講師。著者や本書の強みは、監訳者あとがきでも述べられているように、オーストラリア人という第三者的立場であることだろう。もちろんこの世にまったくの客観中立な第三者はいないが、日韓(さらに米国)より比較的第三者的存在であることは間違いない。

しかし第三者という強みは、弱みにもなりうる。日韓あるいは日本で論争的な主題に対し、重要な細部がいい加減で無頓着になってしまったりもする。本書ではたとえば、「徴用」と「強制連行」を区別していない(一応威圧と脅しがあったことにはふれているが)。

北朝鮮の体制の起源を何に見出すかは、著者も述べるように難しい問題である。あるものは儒教的伝統の影響を語り、あるものは戦前日本の国家神道および天皇制の影響を語り、あるものは第三世界的反帝国主義ナショナリズムを語る。著者が強調するのはスターリン主義の影響である。著者によれば、激烈な個人独裁制中央集権制は、李氏朝鮮の政治伝統にはまったく見出せない。李氏朝鮮は国王の道徳的権威と、地主貴族(両班)の地方自治と、地方農民が緩やかに重なり合って成立していたのである。よく李氏朝鮮の閉鎖的自給自足経済が、現在の北朝鮮になぞらえられる(右翼はなぞらえて李氏朝鮮を貶める)が、北朝鮮は自給自足と軍備拡張を両立させるというアクセルとブレーキを同時に踏むような政策のため経済破綻したのであり、李氏朝鮮経済と北朝鮮経済は同一ではない。

また右翼はよく両班叩きをする。両班を悪く言うことによって、それを解体した日本支配をたたえる(実際には地主として生き残ったが)、という論法が好んで使われているが、著者は両班と平民が相互浸透して補い合っていたと唱える。両班は韓国の歴史家の間でも、近代主義の見地から封建的支配階級として評判が悪いが、そのような評価に対しては慎重にならなければならないだろう。

fellowfellow 2010/04/30 13:12 爆笑!!

「封建社会は悪い社会。但し朝鮮半島を除く」

左翼的価値観からすれば、封建社会からの脱却は無条件に是とされなければならないはずなのに、「日本帝国主義=悪」というドグマから脱却できないオールド左翼は、朝鮮封建社会を悪と断ずることはできないという自己撞着に陥る。
その結果、「そのような評価には慎重にならなければならない」。

こういうドグマティックな考えが、「革命のためには大量殺人も肯定される」という共産主義の歴史につながったんだろうね。

uedaryouedaryo 2010/04/30 15:15  まず「コメントする暇があるなら、先日の俺のコメントに反論してみろよ」と言いたいね。反論できないまま新たに噛み付いたら、負け犬だってことを自己証明しちゃうから、批判はないと思ってたのに、ここまでおばかさんだったとはね。
 あとそれから藁人形叩きもいい加減にせいよ。左翼だって色々で、「封建社会は悪い社会」という認識とは限らない。俺には「封建社会は悪い社会」なんて価値観はねえよ。あるというんだったら、このブログの過去ログから探し出して見つけて見せてくれ。

北川修一北川修一 2010/05/01 08:23 fellowさん
あなたは最近、どろさんのところでも「爆笑した」と書いてましたが、「爆笑」を辞書で引いてみてください。あなたが一人で「爆笑」することはできません。
まあ、あなたに限らず、誤って使ってる人は多いですけどね。
今後、あなたがどこかの左派ブログに登場したとき、「爆笑」をどのように使うか、注目してます。

スノーボール同志スノーボール同志 2010/05/01 09:21 上田亮さま
お初にコメント申し上げます。

「左翼」と封建制の相性についていえば、60〜70年代に流行した疎外論なんかは封建的前近代を結構
評価していたように思います。こういう物の見方がある方向へ行きついた姿が、渡辺京二さんの「逝きし世の面影」などではないでしょうか?
彼の著作を無批判に持ち上げて、ニッポソまんせーしているひとびとは、彼が日本共産党の元党員で
あることすら知らないのかな、と思います。

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