洋上に浮かぶ船形プラントのイメージ図。ガスタンカーを横付けし、LNGを運び出す=ロイヤル・ダッチ・シェル提供 |
大阪ガスは29日、同社が参加する豪州沖の天然ガス田開発について、船の形をした液化天然ガス(LNG)生産プラントを洋上に浮かべる新方式の採用で合意したと発表した。実用化した例は世界でもまだなく、日本企業が参加するガス田で新方式の採用は初めて。大阪ガスは今回の決定で2010年代後半の生産開始が見えてきたとしている。
海底からくみ上げた天然ガスを精製、冷却してLNG化し、貯蔵する船形プラントを豪州北方沖約450キロの「サンライズガス田」の洋上に浮かべる。大阪ガスは同ガス田の10%分の権益を00年7月に取得し、開発方式の検討を続けてきたが、開発に参加する英・オランダ系石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルや豪州企業との間で合意した。
プラントの大きさは全長450メートル、幅70メートルで、LNGタンクは一般的なガスタンカーの約2倍。重量は60万トン。ガスタンカーを横付けしてLNGを運び出す。海底パイプラインで沿岸に運び、陸上でLNGを生産する現在の方式に比べて、数千億円とされるコストが数割安くなる。
洋上の船形プラントは沖合の資源開発に適し、油田では実用化例があるが、冷却設備などが大型になるLNGプラントでは実用化されていない。沿岸のガス田が徐々に枯渇するなか、波による揺れに耐える建設技術の進歩で気象条件の良い海域なら採用が可能になってきているという。(清井聡)