反小沢ついに“戦闘開始” 前原、仙石ら11人が作戦会議!?

2010.05.01

 「政治とカネ」の問題で、検察審査会(検審)から「起訴相当」の議決を突き付けられた民主党の最高実力者、小沢一郎幹事長(67)に対し、ついに党内から“反撃”の狼煙があがった。居座りを決め込んでいる小沢氏に、「反小沢」の筆頭格である前原誠司国交相(48)らが“自発的辞職”を求めたのだ。小沢氏に「ノー」と言えない鳩山由紀夫首相(63)に代わり、「反小沢陣営」は党内決起に成功するか−。

 「検察審査会で『(小沢氏は)起訴相当である』と議決された。それ以前に3人の秘書が逮捕されている。責任ある立場の人は本人が(進退を)決断すべきだというのが私のポリシーだ」

 前原氏は訪米中の29日夕(日本時間30日朝)、ワシントン市内で記者会見し、小沢氏についてこう語った。首相が前日、小沢氏への続投支持をしたことを覆す、事実上の辞任要求。ルビコン川を渡ったようにもみえる。

 同じ日、前原氏に近い枝野幸男行政刷新相(45)も閣議後の記者会見で、「幹事長の一番の役割は選挙に勝つこと。そのことを踏まえていろいろお考えになっていると思う」と暗に小沢氏の辞任を示唆し、前原氏を側面支援した。

 「小沢降ろし」の狼煙を上げた前原氏は訪米後、高速鉄道導入を検討しているベトナムを訪問し、日本の新幹線方式を直接売り込む。同時期、仙谷由人国家戦略担当相(64)もベトナムを訪れ、原発輸出などのトップセールスを行うが、これがキナ臭い。2人は党内屈指の「反小沢」系議員であり、現地で合流するというのだ。

 このため、「小沢氏周辺は、永田町にゲシュタポ並みの情報収集網を張り巡らせている。前原、仙谷両氏は海外で『ポスト鳩山』や『小沢降ろし』の密談をするのではないか」(民主党中堅)といった憶測も流れる。

 参院選直前という多忙な時期ながら、このゴールデンウイークには全閣僚18人のうち11人が海外出張を入れている。この中には、前原、仙谷両氏と同様、小沢氏と距離を置く岡田克也外相(56)らもいる。

 「反小沢」陣営を勢いづかせているのは、検審の議決直後に行われた共同通信の世論調査だ。その結果は衝撃的だった。

 鳩山内閣の支持率は4月の前回調査から12・3ポイント急落し、政権維持の赤信号である10%台寸前の20・7%に。小沢氏の幹事長辞職を求める声も83・8%まで上昇した。鳩山−小沢体制は、国民の信を失ったといえる。

 ところが、首相周辺は「これで投げ出したら、批判してきた自民党の安倍、福田両内閣と同じになる」といい、小沢氏側近の輿石東幹事長代行(74)も「参院選勝利に向け全力を尽くすしかない」と現状維持を宣言した。

 ただ、GWで地元選挙区に帰り、支持者らの批判を直接聞いた所属議員らが、鳩山−小沢体制の存続に唯々諾々と従うとは思えない。現に、「ポスト鳩山」の一番手とみられている菅直人副総理兼財務相(63)までが、「幹事長本人がもう少し国民に説明することが必要ではないか」と、距離を置くような発言を始めている。

 GW明けに「反小沢」陣営の党内決起はあるのか。政治評論家の浅川博忠氏は「小沢氏が自発的辞任をすることはない。幹事長を辞めて権力を失い『第2の金丸信』になることを恐れている。参院選を仕切り、その後の政界再編の舞台回しを狙っている」と前置きし、こう解説する。

 「小沢氏を落城させるには、『反小沢』の渡部恒三元衆院副議長(77)や藤井裕久前財務相(77)とともに、岡田氏や前原氏ら『七奉行』が結束しなければ無理。だが現時点では、そういう状況にない。前原氏らの発言は『自分はちゃんと小沢氏を批判した』というアリバイ作りに近い。しかし、このままでは、内閣支持率が1ケタになる事態もあり得る」

 どこかに、腹の据わった議員はいないのか。

 

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