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【格闘技】

長谷川穂積がTKO負け 5年間守った王座陥落

2010年5月1日 紙面から

4回、モンティエルのラッシュでTKOを奪われる長谷川(右)=日本武道館で(七森祐也撮影)

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◇WBC世界バンタム級タイトル戦

 再戦だ−。WBC世界バンタム級王者長谷川穂積=真正=が、WBO王者フェルナンド・モンティエル=メキシコ=に4回2分59秒、TKO負け。11度目の防衛に失敗、5年間守っていたタイトルを手放した。事実上の統一戦という注目を集めた試合で9年ぶりの敗戦。真正ジム山下正人会長は「もう一度やりたい」と再戦を訴え、世界的なプロモーターの帝拳ジム本田明彦会長も全面サポートを約束。長谷川はバンタム級に残留し、モンティエルとのリベンジマッチを目指すことになりそうだ。

 だれがこんな結末を予想しただろうか。

 長谷川は4回2分50秒まで完ぺきだった。残り10秒を告げる拍子木の音が鳴ったと同時に、左フックをあごに食らった。続けて左フックをもう一発。あとは連打を浴びるだけだった。あの長谷川がロープ際で棒立ちになっている。“絶対王者”の目が泳ぎ、何もできないでいる。4回2分59秒。衝撃のフィニッシュ。日本武道館を埋め尽くした1万1000人は声を失い、静まり返った。

 「なんで止めたんかなって思った。でもビデオで見たら仕方がない。最後のパンチはさすがですね。気を抜いたところにもらった。油断ですね。ちゃんと連打もらっているのも分かっていたし、ロープから体勢を変えようとしていたし。う〜ん、面白かったし、駆け引きが楽しかった」

 控室に戻り、淡々と試合を振り返った。だが、「負けてしまって、どういう心境なのか?」と報道陣から問われ、表情が一変した。「もちろん悔しさはありますし、ただ…」と、その後は30秒の沈黙。唇をかみ、顔を紅潮させ、涙を流した。

 今後どうするのか−。バンタム級で再起するのか、それとも減量苦が解消できる2階級上のフェザー級に上げるのか。山下会長は間髪入れず、再戦を訴えた。「本人の気持ちは分からんけど、もう一回バンタム級でモンティエルと勝負したい」。長谷川は「体調は100%。最高の状態だった」とバンタム級でも問題ないことを強調した。

 長谷川の世界戦をマッチメークする帝拳ジム本田会長は「本人のウエート次第だけど」と前置きして、リベンジマッチの全面サポートを約束。「メキシコでもラスベガスでも、もちろん日本でも。この試合はカードになる。あそこまでは長谷川君ペース。本人は納得いかないでしょう。やりたいなら協力したい。可能性は非常にある」。日本だけでなく、海外での再戦も選択肢にあることを示唆した。

 世界中が注目した王者対決。「勝たないと意味がない」。ならばもう一度−。4回戦ボーイだった01年5月以来、約9年ぶりの敗戦。生涯初のKO負け。負けたままでは終われない。(森合正範)

 

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